【お客様の声】「信用」を最優先に。老舗旅館グループが語る、特定技能人材との歩み方

株式会社鴨川グランドホテル

業種 宿泊業
従業員数 101〜500名
ビザ 特定技能
地域 関東
お話を伺った方 本社総務課 鈴木様

課題

  • コロナ禍以降、深刻な人材不足に直面。派遣スタッフは契約期間が短く雇用が不安定で、日本人の新卒・中途採用も完全な売り手市場で思うように集まらなかった。
  • 導入初期は入国管理局への提出書類が多く、加えてコロナ禍の赤字決算により申請が却下される恐れもあった。

導入の決め手

  • 加盟するJTB旅館連盟からの紹介で、価格だけでなく「信用」を重視して選定した。
  • 旅館連盟という信頼できる経路からの紹介である点を評価し、将来のトラブル対応まで見据えて判断した。

効果

  • 経営陣一体で収益改善計画を策定・提出し、行政手続き上のハードルを乗り越えて安定した採用ルートを確立できた。
  • 特定技能人材の遅刻の少なさが日本人スタッフの意識向上にもつながり、明確な指示・報告体制など職場全体の透明性が高まった。

千葉県を拠点に旅館業を営む鴨川グランドホテル。グループとして山口県のホテルや都内のビジネスホテル、コンドミニアムなども展開しており、従業員数は414名にのぼります(令和8年8月現在)。コロナ禍以降の深刻な人材不足をきっかけに、特定技能人材の直接雇用へと舵を切りました。本社総務課の鈴木様に、導入の経緯から現場での試行錯誤、そして会社として大切にしている考え方までを伺いました。

派遣から直接雇用へ。深刻な人材不足の中での転換

―最初に、貴社の事業内容について教えてください。

鴨川グランドホテルのほか、山口県のホテル、都内のビジネスホテル2軒、コンドミニアム、リネン工場などを運営しています。特定技能人材は主にレストランのサービス業務を担当していて、フロント業務は宿泊に関する専門的な技能が求められるため、今のところは配置していません。

ー外国人材の採用に至った経緯を教えてください。

きっかけはコロナ禍以降の深刻な人材不足です。それまでは派遣スタッフに頼っていたのですが、契約期間が3ヶ月から半年程度と短く、雇用が不安定になりがちでした。日本人の採用も思うように集まらず、完全に売り手市場という状況でした。そこで、安定した戦力を確保するために、外国人材を直接雇用する方針に転換しました。

「信用」を最優先にした、パートナー選びの基準

ー数あるサービスの中で、トクティーを選んだ理由を教えてください。

最初は別の会社にお願いして、事務職を中心とした技人国(※)の在留資格を持っている人材を採用していました。ビジネスホテルやコンドミニアムに配属していたのですが、技人国ビザの人材はかなり雇用にお金がかかっていました。そんな中、加盟しているJTB旅館連盟経由で、トクティーさんを紹介してもらったんです。旅館連盟からの紹介ということで信用ができると思ってお願いしました。パートナーを選ぶ時に一番大事なのは、将来トラブルがあった時にきちんと対応してもらえる信頼関係だと思っています。

※技人国とは日本の企業等との契約に基づき、自然科学(理系)や人文科学(文系)の専門的技術・知識を要する業務、または外国の文化・語学を生かした業務に従事する在留資格

入管手続きとコロナ禍の赤字決算。導入初期に立ちはだかった壁

ー特定技能人材を実際に採用する中で、大変だった部分はありますか?

最初の導入時が一番大変でした。私自身、外国人雇用の知識があまりなかったので、勉強しながらの対応でした。特に大変だったのが、入国管理局への提出書類の多さです。それに加えて、コロナ禍で赤字決算だったため、特定技能人材を雇用する申請が入国管理局で却下される恐れもありました。それでも、どうしても人材が必要なタイミングだったので、経営陣とも一体となって将来的な収益改善計画を策定・提出し、なんとかクリアすることができました。

すれ違いから歩み寄りへ。意識改革と行動基準の徹底

ー外国人材雇用に対する現場のスタッフの反応はどうでしたか?

最初から大歓迎というわけではなかったですが、少しずつお互いに慣れていってくれました。日本語でのコミュニケーションがうまく取れないことで、お互いにギクシャクとした関係になってしまう部分も見受けられました。そこで、現場の担当マネージャーには、この人材不足を解決するには外国人材を戦力にしていくしかない、長い目で育ててほしい、という会社の方針をしっかり伝えました。採用が増えていくにつれて、現場も少しずつ受け入れへの知見をためていったように思います。

ー文化の違いから来る難しさに対しては、どう対応されていますか?

外国人材ならではの文化の違いは当然あります。日本の文化に馴染んでもらうために、まず遅刻をしないこと、時間を守ることを徹底しました。それから、何かあったら必ず報告・連絡をすること。現場の責任者だけで抱え込んで解決しようとせず、必ず本部と共有する体制にしています。この2つを徹底して守らせることを、特に大事にしていますね。

暮らしへの配慮が生んだ定着。そして生まれた好循環

ー生活面での配慮はどうされていますか?

最初に壁に当たったのは食事でした。社員食堂があるのですが、お国柄によって味付けも素材も違うので、なかなか食堂の味に馴染めず、来なくなってしまうことがあったんです。食事は生活の中でも大切な部分なので、そこで働けなくなってしまうのは避けたかったんです。もともと日本人従業員向けに設けていた調理スペースを、外国人材にも開放して、自分たちで好きなものを作って食べてもらうようにしました。今は何人かでまとめて自炊しているようです。

ー職場に良い影響はありましたか?

一番はコミュニケーションが円滑になったことですね。長く働いてくれている外国人材はもう日本語が普通に話せるようになっていて、特に苦労はありません。食い違いが起きないよう丁寧にやり取りする姿勢も職場全体に浸透してきたので、以前にも増して全体的に円滑になっていると思います。

あとは、外国人材は遅刻をしないので、逆に日本人の側が気を引き締めるようになった部分もあります。遅刻は信用に関わる、人間性を見られるところだと繰り返し伝えてきたので、今ではほとんど遅刻はなくなりましたね。

リーダーへの道と、これから外国人材を雇う経営者へ

ー今後、外国人材にどのような役割を期待していますか?

実は今年、特定技能で採用した女性社員が2号に移行しまして、今は現場でリーダーシップを取ってくれています。まだ20代なので管理職はこれからですが、十分に活躍してくれていますね。国籍に関係なく、能力のある人はどんどん登用していきたいと考えています。宿泊業は昼間の時間帯が手薄になりがちで、日本人の採用でもそこがネックになりやすいのですが、外国人材はそうした働き方にも柔軟に対応してくれるので、今後も重要な戦力になっていくと思います。

ーもし他の経営者から相談を受けたら、どんなアドバイスをしますか?

初めて外国人材を雇うという方には、まず生活の土台をきちんと整えてあげることが大切だとお伝えしたいですね。住居や食事の環境が整っている会社の方が、外国人材からも選ばれます。実際、うちも合同の面談会でアピールする時は、寮の設備や食事、近くにスーパーやドラッグストア、大きな病院があることなどを伝えるようにしています。生活の基盤がしっかり見えないと、なかなか選んでもらえないと思います。

ー労務管理の面で、意識されていることはありますか?

ハラスメント対策は特に重要だと思っています。パワハラ・セクハラ・カスタマーハラスメントについて、日本人も含めて全社員にウェブ講義で教育を徹底しています。それから、ホテル業界に根強く残っていたサービス残業も、きちんとデジタルで労働時間を管理して、適正に支払う体制に変えました。外国人材は特に、おかしいと思ったことをはっきり言ってくれるので、そうした透明性のある労務管理は今の時代、欠かせないと思います。


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