東京都中央区に本社を構え、防水工事を中心とした建設業を営む合同会社あおけん様。大手ゼネコンからの受注を主軸に、9年にわたって事業を展開してきました。 答えにくい質問にも笑顔で誠実に答えてくださった代表の青木勇様からは、従業員への大きな愛情が伝わってきました。雇用の中で見えてきた課題を乗り越えながら特定技能人材の雇用を続ける青木様に、現場での向き合い方や、経営者として知っておくべきリアルな実情を伺いました。
求人を出しても応募がない、採用しても続かない。そんな中で見えた特定技能人材という選択肢
ー改めて、御社の事業内容を教えてください。
建築業として防水工事事業を9年ほど営んでいます。大手ゼネコンさんからのお仕事がメインです。
ー特定技能人材の採用に至った経緯を教えてください。
求人広告を出しても日本人の採用がかなり難しい状況でした。日本人を採用できた場合でも、勤勉ではなかったり、問題を起こす子だったりと、なかなかいい人材に当たらない。そんな中、周りの経営者仲間が少しずつ外国人材を採用し始めていたのを見て、うちも外国人材はどうだろうと考えるようになりました。
ー技能実習生ではなく、特定技能人材を選んだ理由は何ですか?
単純に、特定技能人材の方が建築業に入ってくるまでのプロセスが楽だと思ったからです。実習生として数年間日本で過ごした後に特定技能に移っているので、生活面はある程度自分たちで分かっていますし、日本語能力もある。1から教えるよりリスクが少ない、経験のある人材をきちんと案内してもらえるかどうかが重要だと思っていました。
「待ってられない」。指示を待つより先に動く、意欲の強さ
ー実際に採用してみて、期待とのギャップはありましたか?
面接では「できます、できます」と言うんですが、蓋を開けてみたらできない事があまりにも多い、「できるできる詐欺」なんじゃないかと思うほどでした(笑)。ただ、使っていくうちにどんどん伸びていく。向上心という部分では、正直、最近の日本人の若い子と比較しても高いと思います。
ー意欲の高さが、逆に困ることもあるのでは?
ありますね。手順を無視して、見て勝手にどんどんやり出してしまう。「待って」と言っても待ってられない。それは自信があるからというより、単純に失敗を恐れないんですよね。ただ、何もしないで指示を待ってばかりいる子より、よっぽど良いとは思っています。
「わかった」を鵜呑みにしない。安全と手順を守るための工夫
ー安全管理の面では、どう工夫されていますか?
日常会話には問題がなくても、建築用語や道具の名前など、細かい部分の言葉の壁はやっぱり大きいです。朝のKY活動(危険予知活動)で説明した後、「今日何をやるか分かってる?」と聞いても、実は分かっていないことが多い。だから、噛み砕いて「これとこれとこれをやって、ここまで終わったら終わり」というところまで明確にするようにしています。分からないことを分からないと言えるように、1つ1つ「これ、意味分かりますか」と細かく確認するのも大事にしています。とはいえ、分かっていないのに「分かった」と言ってしまうこともあると思っていて、僕もあまり鵜呑みにしないように気を付けています。
ー現場での技術指導で、意識していることはありますか?
図面や写真だけで説明しても、ベテランの日本人の職人ならまだしも、彼らには作業が想像しにくいことがあるみたいです。だからこそ、僕は前日に彼らと一緒に現地に行って、実際の場所を見ながら作業工程を明確にしてあげるようにしています。その方が理解度が圧倒的に上がりますし、結果的に作業の安全性も確保することができるのです。
世代が違っても、同じ現場の仲間として
ー日本人スタッフとの比率や、影響はどうですか?
以前は日本人4人に対して外国人2人でしたが、今はほぼ半々です。外国人材がいることで助かっている部分は、従業員もかなり感じていると思います。ただ、私より上の世代、50代の方たちの中には、「外国人だから」という先入観がまだあるのも事実です。言葉が分からないんだから言っても仕方ないよ、みたいな。1人の人間として見ていない部分が垣間見られることも正直あります。
ーそうした場面では、どう対応されていますか?
ベテランの職人には「そうじゃないですよ、彼らも頑張ってるんだから」とはっきり言います。逆に彼らには、「あの人はこう思ってるから、こういうことはしない方がいいよ」とフォローする。ちょっとしたいじめに近いようなことがエスカレートしないように、間に入るようにしています。
ートラブルがあった時の指導方法にも、工夫がありますか?
例えば施工ミスなど、みんなで共有して今後の対策を徹底したい場合は、全員揃ったところで「これはダメ、なぜダメか」を説明します。一方で、現場でのルールを誤解していたなど、外国人だからこその常識の違いみたいなことは、二人きりになったときにそっと伝えるようにしています。一度現場先の食堂で許可されていない飲み物を飲んでしまった外国籍のメンバーがいたんですよ。結局勘違いだったのですが、こういったことは他の人には聞かれたくないだろうと思うんです。怒鳴ることはしませんし、「もうこれからはないようにしろよ」で終わり。必要以上にネチネチいう事でもないし、それ以上は言いません。

距離感は変えず、困った時はちゃんとサポート
ー私生活の面でのサポートはありますか?
外国人ならではの必要なサポートというのはあります。例えば、実習生から特定技能人材に切り替わる際、仕事がない空白期間の年金の支払いが発生するのですが、その免除手続きは日本人から見ても複雑で難しかったりします。だから一緒に行って手続きを手伝ってあげたりしました。煩雑なものもありますが、一つ一つ丁寧に対応してあげる姿勢を見せることで「君らは大切なんだよ」というメッセージにもなると思っています。
ー食事や宴会など職場以外でのコミュニケーションもあるんですか?
年に3、4回ほど、年末年始や健康診断のタイミング、現場の節目などで食事会や飲み会をしています。ベトナムの方は宗教的な食事制限もないので、そこは誘いやすい部分ですね。

トクティーとの出会いと、正直な印象
ートクティーを知ったきっかけを教えてください。
外国人材を雇いたいと思って制度を調べる中で、検索結果の上の方に出てきたのがトクティーさんでした。これがあったから決めた、という明確な決め手はなかったですが、実際に案内してもらった人材は、日本の建設業で経験を積んだ子たちだったので、そこは僕が求めていた条件に合致していました。
ートクティーと取引してみた正直な感想をお聞かせください?
ぶっちゃけると、契約した当時のトクティーさんはまだ立ち上げから数年で、担当者も入ったばかりでお互い勉強しながらという部分がありました。ただ、案件が増えるごとに情報も蓄積されていて、今は情報もしっかり持っていていろんな事にスピーディーに対応してくれるようになったと思います。
経営者自身が知っておくべきこと
ー雇用にあたって、経営者自身が理解しておくべきことはありますか?
一つは、雇用するまでに人によっては煩雑と感じるような手続きが存在するということです。お金がある企業さんなら丸投げもできると思いますが、僕は本業の片手間で書類を作ったり、就労管理システムに登録したりと、かなり大変でした。ただ、こういった手続きについて経営者自身がある程度分かっていないと、トラブルが起きた時に「なぜこれが起きるのか」すら分からなくなってしまう。そこは経営者として必ず理解しておくべきだと思います。
ー建設業ならではの注意点はありますか?
建築業の場合、就労管理システムに登録してから認証番号が下りてくるまでの期間は、大手ゼネコンさんの現場で就労させることができないというのは大きな注意点です。その間もお金は発生するのに、実際に働いてもらうことができない。うちの場合、1ヶ月くらいだろうと思っていたのが、それ以上かかりました。特定技能1号は最大5年ですから、そのうちの3、4ヶ月が働けないというのは、率で考えるとかなり大きい。この課題さえクリアできれば、「じゃあやってみよう」と思う経営者はもっと増えると思います。良いことばかりじゃないというのを分かった上で、判断してほしいですね。
ー今後、建設業における外国人材の役割はどう変わっていくと思いますか?
日本人の若い子が入ってこない以上、10年後くらいには外国人材が主体になっていくと思います。今は外国人だけの現場は基本的に認められていませんが、そうも言っていられない状況になってくるはずです。そうなると、今以上に日本語のコミュニケーション能力が重要になってきますし、日本の施工主の意向を汲み取って行ったりするなど、より深い日本の文化への理解が必要になってきます。そういった成長を遂げた先には、彼らがリーダー格としてやっていく未来も広がっていくと思います。
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