茨城県で、住宅から集合住宅、中高層ビルまで幅広い建築物のシーリング防水工事を手がける向井防水工業さま。既存の劣化した部分を撤去し、新しく防水材を充填するという専門的な仕事を営んでいます。建設業界全体で人材不足が深刻化する中、代表の向井克拓様も、日本語を母語とする人材の採用が難しい状況が続いていると言います。言葉が完全には通じないことは、仕事の引き継ぎや安全確保、お客様への印象など、様々なリスクにつながる。それでも、一度雇うと決めたからには、しっかり育てる。そんな職人らしい一本気な責任感を、今回じっくりと伺いました。
日本人が来ない中で、賭けた外国人材の可能性
ー外国人材の採用に至った理由を教えてください。
業界全体で、日本人の人材確保が難しくなっていく中、会社を続けていくためには、外国人材を受け入れる以外に選択肢はありませんでした。また、技能実習生の受け入れができなくなる中で、少しでも日本語で意思疎通を図りやすくしたいという思いもあって、特定技能人材の採用に切り替えました。 もちろん特定技能人材といったって母国語ではないので、言葉が通じない場面もあります。その中で仕事を任せるのは、正直リスクも多いです。仕事の引き継ぎがうまくいかなかったり、安全確認が徹底できなかったり、お客様に不安を与えてしまったり。それでも、一度雇うと決めた以上は、私たち経営者にはしっかり育てていく責任があると思っています。
年数や言葉より、結果で見る公平さ
ー業務の役割分担はどのようにされていますか?
経験年数が長いからできる、言葉が話せるから任せられる、という単純な話ではないんです。うちは、「結果を出してなんぼ」の業界なので、時間をかけて作業を長くやったからと言ってそれが経験値にはならないんです。それぞれの作業に対して責任もって結果を出せると信頼できる人を適材適所で振り分けるようにしています。
ー報酬に関する考え方が外国人材と合わないこともあるとお聞きしました。
社内で働く外国籍のメンバーの中には、働いた時間だけをもって評価を求めるという事がありました。ただ、私たちの商売はお客様に満足してもらわなければなりません。同じ作業を時間をかけて「長く経験した」という解釈をするのではなく、短い時間でもしっかり技術を身に着けて、チームに貢献してもらう事をしっかり評価してあげたいです。 特定技能として入ってきた外国籍の社員であろうがそうでなかろうが、同じ条件でチャンスを与えて、理解して努力した人を正当に評価する。それが公平だと思っています。自分の評価を自分都合でとらえず、力をつけて周りに認めさせる。それができれば自然と評価や昇給は付いてくると伝えています。
危険な現場と役割の線引き。いつか任せられる日を目指して
ー業務を任せる上で、線引きしていることはありますか?
足場の上での作業や、上下で同時に作業するような危険が伴う現場では、必ず日本人とペアを組ませています。見落としがあると事故につながるので、そこは徹底していますね。あと、正直なところ、お客様の中には、外国人材が仕上げを担当すると聞くと不安に感じる方もまだ少なくありません。もちろん、今の段階では経験や技術がまだ十分でない、という現実的な理由もあります。ただ、これはずっとこのままでいい、ということではなくて。しっかり日本の現場に馴染んで、技術力が上がってきたら、いずれはリーダーとして色々な工程を任せられるかもしれません。
「言わなくても分かるだろう」は通じない。
ーこれまでで印象に残っている、大変だったエピソードはありますか?
日本人の先輩社員が、外国籍のスタッフに一生懸命、手取り足取り教えている場面をよく見かけます。私からすると、そこまで言わなくても分かるだろう、と思うようなことまで、翻訳アプリを使いながら丁寧に伝えているんです。それを見ていて、そもそも「当たり前」がお互いに違うんだ、という前提に立たないといけないんだな、と気づかされました。共通の認識を持てるまでは、根気強くやり続けるしかないんだと思います。
これから外国人材を雇う経営者へ
ー経営者の視点から、外国人材の雇用について感じることはありますか?
甘くはないですよ。当たり外れもあるし、来る子の性格もそれぞれ違います。でも、預かった以上は、面倒を見るしかないと思っています。中小企業なので、人を雇えば雇うほど、正直、お金もかかります。でも、そこにお金や手間がかかるのは仕方ないことで、事業を続けていくために必要なら、覚悟を決めてやるしかないんですよね。これから雇いたいという経営者がいたら、覚悟がないなら、やめとけと言うかもしれません。半端な気持ちで雇うものではないと思います。こんなはずじゃなかった、と思うようなことがあっても、それでも面倒を見るんだ、金がかかっても仕方ないんだ、と思えるかどうか。そこの覚悟がないと、うまくいかないと思います。
ー今後、外国人材にどうなってほしいという期待はありますか?
現場を任せられるリーダーになってくれたら、会社としても楽になりますし、それが本人たちにとっても一番いいキャリアだと思っています。現場では、お客様や日本人の監督さんに不安を与えないよう、日本語を使うことを徹底させたいとも思っています。あとは、日本語能力がもっと上がっていけば、事業を続けていく上でも大きな力になると思いますね。
ートクティーとの関係については、いかがですか?
インターネットで知って、お願いすることになりました。まだ始まったばかりなので、正直、具体的にこれが良かった、と言えるほどではないんですが、これから何かトラブルがあった時のサポートや連携には期待しています。日本語のトレーニングについても、案内してもらった教材を活用しようかと検討しているところです。
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