京都で創業100年以上の歴史を持ち、内装工事や伝統的な左官技術を継承する株式会社中野組。時代に合わせた新しい提案を続ける同社は、深刻な人手不足という課題に対し、「外国人採用」という新たな挑戦を選択しました。 現在、7名の特定技能外国人材が活躍する同社。そこには、単なる労働力としてではなく、一人の人間として、そして未来の「熟練職人」として彼らを迎え入れる、深い敬意と情熱がありました。代表の中野隆太さま、総務部長の奥村香里様、総務部 志水智美様のお三方に、その歩みと哲学を伺いました。
人材不足問題への戦略的な挑戦
ーまずは、外国人材の採用に至った経緯を教えてください。
代表:建設業界全体がそうですが、慢性的な人手不足、そして熟練職人の独立による若手不足は、私たちの将来にとって大きな危機感でした。このままでは会社は立ち行かなくなってしまう。そんな危機感を抱いていた時、仲の良い経営者仲間が外国人材を100名規模で雇用し、活き活きと働いている現場を目の当たりにしたんです。「真面目に仕事に向き合う彼らがいれば、道は開ける」と確信し、まずはやってみようと決断しました。最初は社内に抵抗感や先入観もありましたが、経営者として「新しい時代に適応するための挑戦は必須だ」と。失敗してもいいから、まずは一歩踏み出す。それが中野組のスタイルです。
差別を許さず、「人」としてフラットに向き合う社内風土
―実際に雇用してみて、現場の雰囲気や日本人スタッフとの関係はいかがですか?
代表: 非常にシンプルですが、私たちは「外国人だから」と特別視せず、日本人と同様に「同じ人間」として普通に接しています。建設業界にはまだ古い価値観が残っている部分もありますが、国籍で人を判断するのではなく、その人の意欲や仕事への姿勢を正当に評価したい。それが私たちの考えです。
奥村: 実は、過去にある日本人スタッフが、ベトナム人スタッフに対して差別ともとられかねない不適切な態度を取ったことがありました。その時、私たちは「そういう接し方をする職人は、うちにはいなくていい」とはっきり伝えました。結局、その日本人の子は会社を去ることになりましたが、これは国籍に関係なく、社員同士が「一人の人間」としてリスペクトし合ってほしいという思いから出た指摘でした。こうした考えは社内に自然に浸透していて、現場に不自然な偏見はありません。むしろ周りの職人たちも、外国人スタッフの「もっと働きたい、学びたい」というハングリー精神に刺激を受けています。懸命に技術を磨く彼らの姿を見て、今では一人の職人、一人の仲間として、ごく自然に受け入れられています。
「元気で明るくいてほしい」という願いを込めた、徹底した生活サポート

―住環境についても、非常に手厚いサポートをされていると伺いました。
奥村: 私たちが一番驚いたのは、代表が最初に見つけてきた家が駅前のとても立派な3LDKだったことです。「私たちが住む家よりいいじゃないですか!」って、思わずみんなで突っ込んでしまったくらい(笑)。
代表: 経営者が住居費をケチろうと思えばいくらでもできます。でも、仕事が終わって帰る場所がボロボロの小屋のような所では、いい仕事なんてできるはずがない。彼らが毎日「元気で明るく」現場に向かえる環境を整えることは、経営者として当然のことだと思っています。
志水: 代表は家を用意するだけでなく、全室にエアコンを完備したり、部屋に素敵な絵をプレゼントしたりと、生活に必要なものを細かく気遣われています。そうした「大切にされている」という実感があるからか、みんな自分の部屋にこだわりの家具やマットを揃えるなど、日本での生活を心から楽しんでくれているように感じます。
持続可能な雇用のための、特定技能2号への積極的な挑戦
―現在は、特定技能2号への合格を目指したサポートにも力を入れているそうですね。
代表: 私たちは、多くの外国人材に特定技能2号を取得してもらって、長く日本で活躍してもらうことが、本人にとっても会社にとっても幸せな形だと考えています。 2号への申請や試験のサポートは、確かに会社側にも相応の負担がかかります。でも、そこを「面倒くさい」と避けていては、いい人材は残ってくれませんし、育ちもしません。試験費用をすべて会社で負担してでも、彼らには中野組の将来を担う人材になってほしい。そう思って取り組んでいます。
奥村:2号を取得するスタッフが増えれば、結果的に1号の雇用枠も拡大し、より多くの仲間を迎え入れることができます。何より、2号という責任ある立場になった子が、新しく入る1号の後輩たちを教える立場になる。そうやって現場で「良い循環」が生まれることが、組織の持続的な成長には不可欠なんです。そんな明るい展望を持って生き生きと働く彼らの姿は、日本人スタッフにとっても間違いなく良い刺激になっていると思います。
トクティーとの協業:自ら選べる納得感と、対等なパートナーシップを支えるサポート
―数あるサービスの中で、トクティーを利用し続けてくださっている理由を教えてください。
代表: 以前利用した他社の人材紹介では、私たちの求める人材とマッチングがうまくいかないことがありました。トクティーさんの最大の強みは、自分たちが候補者のプロフィールを直接見て、自社に合う人材を比較検討できるプラットフォームがあること。それに加えて、「海外の求職者側も、自分たちで探してうちを選んでくれる」という双方向の仕組みがいいですね。お互いに納得して選んでいるからこそ、入社後のミスマッチも少ないのだと感じます。
奥村: 実務面では、面接設定のスピードや、オンライン面接時のきめ細やかな通訳サポートに助けられています。また、担当者の皆さんの人柄も魅力的です。困った時にはすぐ連絡をくださいますし、一度わざわざ京都の事務所まで足を運んでくださったこともありました。単なる「業者」ではなく、顔の見える「仲間」として信頼関係を築けているからこそ、次もトクティーさんにお願いしようと思えるんです。
妥協のない「人選び」が、組織を強くし未来を拓く
―最後に、外国人採用を検討している他の経営者の方へメッセージをお願いします。
代表: 外国人採用に限った話ではありませんが、採用において私たちは一切妥協をしません。面接の段階で、その人の「人となり」や「成長意欲」「仕事への価値観」などは非常に慎重に見ていますし、少しでも違和感があれば採用は見送ります。そうやって厳選した「意欲ある人材」を迎えるからこそ、受け入れる側の私たちも本気で向き合えるんです。
覚悟を持って入ってくれた彼らに、私たちの技術をどう伝えていくべきか。その方法を突き詰めるプロセスは、結果として社内の教育体制を見直す絶好のきっかけになりました。「どう教えれば、より深く理解してもらえるか」を試行錯誤することで、教える側の日本人スタッフもまた成長する。そうした「良い循環」が生まれ、組織全体の活性化に繋がっていくのだと感じています。 建設業界において、外国人材の力なしに未来を語ることはできません。彼らを「外国人だから」と特別視するのではなく、同じ志を持つ「社員」として尊重し、共に歩む。その一歩を、妥協せずに踏み出すことが、これからの時代を生き残るための必須条件だと思います。
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