出入国在留管理庁の最新統計(令和6年末)によると、日本に在留する外国人の数は3,786,997人と、前年よりも約37万人増加し、過去最多を更新しました。
なかでもタイ人の在留人数は65,398人と、前年(令和5年末)から約3,600人増加しており、日本での雇用機会が着実に広がっていることがわかります。
今後さらに需要が高まる中で、「タイ人材を迎える企業側が何を知っておくべきか」は、大きなテーマになりつつあります。
本記事では、タイ人の特徴や職場での適応性、採用時のメリット・注意点、在留資格や採用コストなどを、採用担当者の目線でわかりやすく解説していきます。
参照:出入国在留管理庁|令和6年末現在における在留外国人数について(公表資料)
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タイ人材の特徴と雇用の背景を知っておこう

タイは東南アジアに位置し、人口約7,000万人を有する王国です。農業・観光・製造業が経済の柱となっており、特に米の輸出や観光業は世界的にも知られています。近年ではエンジニアや技能職などの分野で、日本企業での就労を希望する人材も増えています。
タイ人材を採用・受け入れるうえで、どのような特性を持ち、どのような教育・就職環境で育ってきたのかを理解することは、適切な配置や定着支援の第一歩になります。このセクションでは、タイの基本的な国情から、雇用面での特性までをわかりやすく紹介します。
タイの教育制度とスキル傾向
タイの教育制度は、日本と同様に小学校6年・中学校3年・高校3年の体系で、9年間の義務教育が無償で提供されています。高校では理系・文系の選択が行われ、大学進学を視野に理系を選ぶ生徒が多い傾向にあります。
国立大学の約3分の1が工学部を設置しており、毎年約2万人のエンジニア系人材が輩出されていることからも、技能や理系スキルに対する国としての注力がうかがえます。
タイ人の就職事情と日本就労の背景
タイでは大学を卒業してから就職活動を行うケースが多く、平均年収は約30〜40万バーツ(日本円で約130〜180万円)。都市部では約50万バーツに達することもあります。
しかし国内での希望職種に就けない場合も多く、海外就労、とくに日本での勤務を希望する若手人材が増加傾向にあります。特定技能制度の導入なども後押しとなり、日本での雇用に前向きな人材が多く見られます。
タイ人材の性格や価値観とは?企業が知っておくべき文化的な特徴

タイ人材を採用する際には、スキルや在留資格だけでなく、性格や価値観の傾向を理解することも非常に重要です。 このセクションでは、タイ人の国民性や仕事に対するスタンス、日本人との文化的な違いについて、主な特徴をいくつか紹介します。
タイ人はマイペースで穏やかな性格が特徴
タイ人の約9割は仏教徒であり、仏教の価値観が日常にも深く根付いています。そのため、温厚で穏やかな性格の人が多く、時間やスケジュールにも比較的おおらかな傾向があります。
職場では、時間やルールへの認識にギャップが出る場合もあるため、採用前に理解しておくことでミスマッチを防ぐことができます。
タイ人は争いごとを避ける穏やかな国民性
「マイペンライ(気にしないで)」という言葉に代表されるように、タイでは穏やかで争いを避ける文化が浸透しています。上司からの厳しい叱責やプレッシャーが苦手な傾向もあり、丁寧で尊重を重視したコミュニケーションが好まれます。
職場でのストレスを減らし、長く働いてもらうためには、この文化的な価値観の違いを意識した接し方が重要です。
タイ人は親日家が多く、日本企業との相性も良好
タイは王室国家であり、日本の皇室との親交も深いことから、親日感情を持つ人が多い国です。日本製品や日本の文化にも関心が高く、語学学習や就労に対して前向きな姿勢を持つ人材が多く見られます。
そのため、日本の職場環境にもなじみやすく、採用後の定着率やコミュニケーション面でも好影響が期待できます。
タイ人に多い在留資格と就労可能な業種について

日本に在留するタイ人の多くは、就労や留学などを目的とした在留資格を取得しています。とくに採用を検討する企業にとっては、「どの在留資格で雇用が可能か」「どの業種に多く就いているか」を理解しておくことが重要です。
ここでは、タイ人に多い在留資格の特徴と、それぞれの就労可能分野について解説します。
技能実習
技能実習制度は「人材育成」を目的としており、就労には制限があるものの、製造業・建設業・農業などを中心にタイ人の受け入れ実績があります。特に農業や建設などの分野では、現場での安定した雇用が続いています。
特定技能
特定技能制度は、2019年に創設された在留資格で、14分野において即戦力人材として外国人が働くことができます。
出入国在留管理庁の2024年12月末データによると、特定技能1号として在留するタイ人は5,563人。分野別では、工業製品製造業分野(1,835人)、飲食料品製造業分野(1,541人)、農業(1,017人)が上位を占めています。
このことからも、これらの分野での採用ニーズが高いことがわかります。
参照:出入国在留管理庁|令和6年末 特定技能1号 在留外国人数(国籍・分野別)
技術・人文知識・国際業務(技人国)
「技術・人文知識・国際業務」は、いわゆるホワイトカラーの在留資格で、エンジニア、マーケティング、翻訳・通訳などの職種が対象です。タイ人の場合は、大卒以上の学歴を有し、日本企業で専門性を発揮できる人材が多く申請しています。
留学からの在留資格変更
日本国内で学ぶタイ人留学生も多く、卒業後に「特定技能」や「技人国」へ在留資格を変更し、就職するケースが増えています。企業にとっては、日本語能力や日本文化への理解がある人材を確保できるルートとして注目されています。
タイ人を自社に採用するメリットとは
ここでは、タイ人材を採用することで得られるメリットを紹介します。「なぜ今、タイ人採用が注目されているのか?」という企業側の疑問に対して、実際の現場や人柄の特徴に基づいたポイントを解説します。
タイ人を採用すると職場の雰囲気が明るくなる理由
タイ人の多くは温厚で思いやりのある性格を持ち、「マイペンライ(気にしないで)」という言葉に象徴されるように、ポジティブ思考の文化が根付いています。
仕事上のトラブルやミスがあっても、過度に責め立てることなく柔軟に対応する傾向があり、職場全体が和やかで協力的な雰囲気になります。また、お互いを尊重し、困っている仲間を自然にサポートする姿勢があるため、チームワークの向上にもつながります。
タイ人材が即戦力として注目される3つの理由
タイは東南アジアの中でも高等教育の進展が著しい国のひとつです。特に理系大学を中心に、エンジニアリングやIT、農業技術などの分野で専門スキルを持った人材が多く育成されています。
一方で、タイ国内の雇用競争は激しく、高スキル人材が自国で就職先を見つけにくい状況もあります。そのため、日本企業にとっては、実力のある即戦力人材と出会えるチャンスとも言えるでしょう。
さらに、日本語学習や技能実習・留学経験を通じて、日本企業の業務フローやビジネスマナーに慣れている人材も多く、現場にスムーズに馴染みやすい点も大きな強みです。
とくに製造業や介護、建設業など人材不足が深刻な業界では、タイ人材の活用が企業の成長戦略に直結するケースも増えています。
タイ人採用で気をつけたい性格・文化の違いと対応ポイント
タイ人材の採用は多くのメリットがありますが、日本との文化や価値観の違いから、職場での配慮が必要になる場面もあります。ここでは、トラブルを防ぎ、スムーズに定着してもらうための注意点と対応のコツを紹介します。
タイ人の価値観に配慮したコミュニケーションを
タイでは、上下関係があっても人前で叱責することを避ける文化があり、本人の自尊心や信頼関係に大きく影響することがあります。
そのため、日本企業のようにその場で厳しく指摘するのではなく、落ち着いた場で個別に伝えるほうが受け入れられやすく、モチベーションの低下も防げます。
また、指導時には「否定」よりも「アドバイス」という形で伝えることで、前向きに受け止めてもらえる傾向があります。
時間感覚の違いに丁寧に向き合う
タイ人材の中には、日本と比べて時間への意識が緩やかな方もいます。時間厳守が求められる現場では、採用初期に戸惑うこともあるかもしれません。
そのため、就業ルールや時間管理の重要性は丁寧かつ段階的に伝えることが大切です。指導に加えて、仕組みやルールを見える化することで理解が深まりやすくなります。
こうした文化的な違いを踏まえて接することで、トラブルを未然に防ぎ、タイ人材が安心して能力を発揮できる環境づくりにつながります。
宗教・文化的な違いにも理解を
タイでは仏教徒が多数を占めており、日常の言動にも信仰や文化的背景が根付いています。
たとえば、「頭に触れるのは無礼」とされることや、「足を人に向ける」などの仕草もマナー違反と捉えられる場合があります。職場での何気ない行動が相手に不快感を与える可能性があるため、お互いの文化を尊重する姿勢が大切です。
宗教上の理由で特定の行事や食事に参加しないこともあるため、強制せず柔軟に対応できる環境づくりを意識すると良いでしょう。
タイ人材の採用にかかる費用と月給の目安|採用後の活躍にもつなげよう

タイ人材を採用する際に気になるのが「どのくらいの給与水準で雇用できるのか」「採用にかかる総コストはどれくらいか」といった点ではないでしょうか。
タイ人の平均年収は地域によって異なりますが、地方では約30万〜40万バーツ、都市部では50万バーツ(約200万円)前後が目安とされています。より高収入を目指して海外就労を希望する人も多く、日本企業にとっては意欲的な人材を採用できる可能性があります。
日本国内でタイ人を採用する際の給与相場は月給20万〜30万円程度。職種やスキル、地域によっても変動しますが、相場感として把握しておくと良いでしょう。
タイ人材の採用にかかる費用項目
タイ人を雇用する場合、給与以外にも以下のようなコストが発生する点に注意が必要です。
- 渡航費・航空券代
- 健康診断費用
- 在留資格(ビザ)申請・更新の委託費用
- 登録支援機関への委託料
- 人材紹介会社への仲介手数料
これらを合算すると、1名あたり数十万円〜100万円以上かかる場合もあります。ただし、適切な支援機関を選ぶことでコストと業務負担を抑えることも可能です。
タイ人材の特徴を理解して、長く活躍できる環境づくりを
タイ人材の性格や価値観、文化的背景を理解することは、採用後の定着や活躍に大きく関わってきます。
採用時だけでなく、入社後のフォロー体制や文化的配慮も大切です。職場での人間関係や業務への不安を早期に解消できるよう、丁寧なコミュニケーションとサポート体制を整えておきましょう。
この記事を通じてタイ人材への理解が深まり、貴社のグローバル人材戦略の一助となれば幸いです。
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