特定技能「コンクリート圧送」とは?対象業務・受け入れ条件をやさしく解説

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2025/08/03

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近年、建設業界では深刻な人手不足が問題となっています。その解決策の一つとして注目されているのが、特定技能外国人の受け入れです。本記事では、コンクリート圧送業務における特定技能の対象業務や受け入れ条件について詳しく解説しま […]

目次

近年、建設業界では深刻な人手不足が問題となっています。その解決策の一つとして注目されているのが、特定技能外国人の受け入れです。本記事では、コンクリート圧送業務における特定技能の対象業務や受け入れ条件について詳しく解説します。特定技能外国人の活用を検討している企業の方は、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

本記事では、コンクリート圧送業務における特定技能の対象業務、受け入れに必要な条件、日本語能力や安全管理のポイントなど、実務に役立つ情報をわかりやすくまとめています。また、特定技能制度を活用することで、深刻な人手不足にどう対応できるのかも解説します。

コンクリート圧送業界における人手不足と特定技能制度の活用

コンクリート圧送業界における人手不足と特定技能制度の活用の画像

日本のコンクリート圧送業界では、人手不足が深刻化しています。特定技能制度を活用することで、その課題にどのように対応できるのでしょうか。

そもそもコンクリート圧送とは?

コンクリート圧送とは、生コンクリートをポンプ車を使ってホースなどの配管を通し、建設現場の型枠などに送り込む作業です。高層建築や狭小地などでの施工に不可欠な技術であり、安全かつ効率的に作業を進めるためには、専門的な機械操作と経験が必要とされます。

この工程がスムーズに行われなければ、建設全体の進行に大きな影響が及ぶため、熟練の技術者の確保が極めて重要とされています。

コンクリート圧送業界の人手不足の現状

専門的な技能を持つ人材の不足が、コンクリート圧送業界全体の大きな課題となっています。近年、建設業全体で人手不足が深刻化しており、特に高度な専門技術を必要とするコンクリート圧送施工では、人材の確保が難しくなっています。

その背景には、業務の肉体的な負担が大きいこと、熟練に時間がかかること、加えて若年層の建設業離れが進んでいることなど、複数の要因があります。また、現場環境の厳しさや長時間労働のイメージも、新規就業者の確保を難しくしている原因の一つです。

国の見通しでは、建設分野において今後5年間で34,000人の特定技能外国人の受け入れが想定されています。それほどまでに人材が必要とされている一方で、国内人材だけでは需要をまかないきれない状況が続いており、業界の持続的な成長に支障をきたす恐れがあります。

特定技能制度による外国人労働者の受け入れ

特定技能制度は、深刻な人手不足に直面している産業分野において、一定の専門知識や技能を持つ外国人を受け入れることができる在留資格制度です。建設分野においては、実務経験や試験によってスキルを証明した外国人が、現場で即戦力として就労することが可能になります。

制度の導入により、業界では多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍し始めており、人材不足への有効な対応策として注目されています。

なお、コンクリート圧送施工は、特定技能1号の、「建設分野」に含まれる業務であり、2022年8月の制度改正により、「建築」および「土木」両方の業務区分に該当する作業として正式に位置づけられています。

これにより、コンクリートポンプ車を用いた圧送作業なども、制度上の対象業務として外国人が従事することが可能となっています。

出入国在留管理庁によると、特定技能1号の建設分野における在留外国人数は38,365人(令和6年12月末時点)となっており、今後さらに増加が見込まれています。

中でも、コンクリート圧送のような専門性の高い作業は、実務経験者や技能実習修了者を活用することで、現場の即戦力として期待されています。

また、技能実習2号を良好に修了した外国人は、コンクリート圧送分野の特定技能において試験免除で移行することが可能です。日本での実務経験を積んだ人材を継続して雇用できるという点でも、制度の大きなメリットといえるでしょう。

参照:出入国在留管理庁|特定技能在留外国人数 (令和6年12月末現在)

コンクリート圧送における特定技能の対象業務とは

コンクリート圧送における特定技能の対象業務とはの画像

特定技能制度において「コンクリート圧送」は建設分野の対象業務のひとつとして認められています。コンクリートポンプ車などの専門機械を用いて、生コンクリートを所定の場所に送り込む一連の作業が、特定技能で認められる業務に該当します。

このセクションでは、対象業務として具体的にどこまでが認められているのか、実際に使用する機材や注意点も含めてわかりやすく解説します。

対象業務として認められる作業の範囲

特定技能「コンクリート圧送」で認められている作業は、技能評価試験で確認された職務内容に基づいています。以下のような業務は、制度上「対象業務」として正規に認められており、外国人労働者に従事させることが可能です。

  • コンクリートポンプ車の操作および圧送作業
  • 型枠内へのコンクリートの打設と流量の調整
  • 圧送ホースや配管の設置、取り回し、後片付け
  • ポンプ装置・配管類の洗浄および日常点検
  • 作業に関連する安全管理・作業エリアの整備

これらは、ポンプ操作を中心とした「コンクリート圧送施工」の一連の流れに含まれる業務です。技能試験においても、実技・筆記の両面からこれらの能力が確認されており、従事させる際には対象業務に沿った内容であることが重要です。

なお、業務内容が曖昧な場合や、周辺作業を併せて行わせる際は、資格外活動とならないよう事前に確認を行い、配属部署と連携して業務範囲を明確にしておくことが望まれます。

使用機器・設備と作業環境

実務では、コンクリートポンプ車やホース、圧送配管、ラジコン操作装置などを使用します。これらの機器の基本的な操作スキルや、日常点検・保守の知識も対象業務に含まれる実務範囲の一部です。また、高所・狭小地での作業も想定されるため、安全管理の理解も不可欠です。

特定技能の対象外となる作業例

特定技能の資格範囲を超える業務に従事させることは、制度違反に該当します。たとえば、以下のような作業は原則として対象外とされています:

  • コンクリート以外の資材運搬や清掃のみを主とする作業
  • 作業現場外での雑務・待機・事務処理
  • 別分野(配管工事・左官など)の補助作業
  • 資格外の重機操作や測量補助業務

これらは、技能評価試験で確認されている対象業務に該当しないため、継続的に行わせると「資格外活動」として出入国管理法違反に問われる可能性があります。実際に、制度違反として警告や在留資格取消しの対象となった事例も報告されています。

対象外作業を避けるためには、業務内容を事前に明確化し、配属先の現場責任者にも制度の基本ルールを共有しておくことが重要です。また、定期的に業務実態を見直し、必要に応じて専門家や登録支援機関の助言を受けるなど、法令遵守への意識を持った体制づくりが求められます。

受け入れ企業が満たすべき条件と準備

特定技能外国人を受け入れるためには、企業側にもいくつかの要件と準備が求められます。制度を正しく運用し、スムーズな就労と職場定着を実現するために、必要な体制を整えることが重要です。

特定技能外国人を雇用するための基本要件

受け入れ企業は、労働基準法などの法令を遵守し、適正な労働環境を提供することが前提です。また、外国人に支払う報酬は、日本人と同等以上である必要があります。

さらに、過去に不正行為がないこと、社会保険への適切な加入、労働条件通知書や雇用契約の書面化など、雇用者としての信頼性も厳しく求められます。

受け入れにあたっては、特定技能所属機関としての登録が必要であり、厚生労働省・出入国在留管理庁のガイドラインに沿った管理体制が整っていることが求められます。

受け入れ準備に必要な体制と手続き

受け入れ企業は、就労前から就労後に至るまでの支援体制を整えておく必要があります。具体的には、入社前ガイダンスの実施、住居の確保、生活オリエンテーション、定期的な面談の実施が求められます。

また、在留資格に関する各種書類の整備や、本人への理解しやすい説明も重要です。

さらに、交通手段・生活用品・医療機関への案内など、日本での生活基盤を整える支援も必要とされます。こうした支援項目は、特定技能制度の要件として明文化されており、内容を漏れなく実施することが義務付けられています。

登録支援機関の活用と申請手続きのサポート

自社だけでの対応が難しい場合は、登録支援機関の活用が有効です。申請書類の作成支援や、入管手続き、安全教育、労務管理などを外部からサポートしてもらうことができ、スムーズな受け入れにつながります。

特に初めて外国人を雇用する企業にとっては、制度運用を正確に行うための心強いパートナーとなります。

特定技能外国人を採用するメリットとは?

特定技能外国人を採用するメリットとは?の画像

特定技能制度を活用することで、建設現場に即戦力を迎え入れることが可能になります。日本の建設業界では長年にわたり人材不足が問題視されており、特に現場作業を担う人材の確保が課題となっています。

特定技能外国人の受け入れは、この構造的な問題を打破する一手として、多くの企業から注目を集めています。

人手不足の解消と生産性の向上

深刻な人手不足に直面する建設業界において、特定技能外国人の採用は大きな戦力となります。業務がスムーズに進み、生産性の向上が期待できます。経験豊富な人材を採用できれば、技術的な安定にもつながります。

実際に特定技能外国人を受け入れた企業の中には、作業工程の安定や納期の遵守率が改善されたという声もあり、特に定着率が高いケースでは、現場全体のスキル底上げにも寄与しています。

職場の多様性と新たな発想の創出

多様なバックグラウンドを持つ人材が加わることで、職場に新しい視点や価値観が生まれ、チーム全体の柔軟性が高まります。外国人との協働を通じて、既存の従業員の視野も広がるという効果が期待できます。

文化的な違いを活かした改善提案や、母国での経験を基にした作業手法の共有など、外国人ならではの視点が業務の効率化や安全対策のヒントになることもあります。また、国際感覚を持った若手人材の育成にもつながります。

企業ブランディングと社会的信頼の向上

外国人労働者を受け入れている企業は、多様性を尊重し、グローバルな視点を持った組織として評価される傾向にあります。特定技能制度の活用を公表することで、採用活動や取引先からの信頼性が高まるという副次的な効果もあります。

また、自治体や地域との連携により、地域活性化の一翼を担うことも可能です。社会的意義のある取り組みとして社内外のイメージアップに繋がるでしょう。

外国人採用における注意点と法令遵守

外国人を採用するには、企業としての責任をしっかり果たす必要があります。ここでは、制度を正しく活用し、トラブルを未然に防ぐために押さえておきたい注意点を紹介します。

関連記事:外国人の雇用って難しい?雇用時の注意点・ポイントを解説!

制度への理解と法令遵守

特定技能制度を活用するには、出入国管理法、労働基準法、労働安全衛生法などの関係法令を正しく理解し、遵守することが不可欠です。たとえば、在留資格の種類や有効期限の管理、報酬の支払い基準、労働条件通知書の記載内容などが該当します。

特定技能外国人は「試験によって業務範囲が決められている」ため、資格外の作業を強制することは不法就労助長罪につながる可能性もあります。制度に関する社内研修を行うことや、専門家の監修を受けながら体制を整えることが望まれます。

トラブル回避のための社内体制の整備

外国人労働者との文化・言語の違いから、職場内での誤解や不満が生まれやすくなります。たとえば、「報告の仕方が伝わっていなかった」「仕事のやり方の認識がずれていた」といった小さな行き違いが、信頼関係を損なう原因になることもあります。

こうしたトラブルを防ぐには、定期的な面談の実施や、外国人でも気軽に相談できる窓口の設置、就業規則や作業手順書の多言語化などが有効です。また、外国人を受け入れるチームへの異文化理解研修も、社内全体の受け入れ態勢を整える上で大きな効果を発揮します。

情報管理とプライバシーへの配慮

外国人労働者の受け入れにおいては、在留資格やパスポート、健康状態、住居など、個人情報の取り扱いが不可欠です。これらの情報は機密性が高く、厳重な管理体制が求められます。

万が一、情報漏洩などが発生すれば企業としての信用を大きく損なうだけでなく、本人に重大な不利益を与える可能性もあるため、情報管理の教育やシステム整備も受け入れ準備の一環として重要視すべきです。

まとめ

コンクリート圧送業務における特定技能外国人の受け入れは、人手不足解消の有効な手段です。しかし、適切な手続きや安全管理が求められます。

本記事で紹介した内容を参考に、特定技能外国人の採用を検討してみてはいかがでしょうか。企業の成長と外国人労働者の活躍の場を広げるために、正しい知識と準備が重要です。今後も、建設業界の発展のために、多様な人材の力を活かしていきましょう。

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