特定技能「素形材産業」とは?ビザの取得や採用時の注意点を解説!

外国人採用

2024/07/16

「素形材産業で特定技能外国人を雇いたいが、制度が複雑でよくわからない」と頭を抱えてはいませんか?素形材産業を含む特定技能「製造業」分野は、外国人からも人気が高く、深刻化する製造業の人手不足の解消が期待できる在留資格です。 […]

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「素形材産業で特定技能外国人を雇いたいが、制度が複雑でよくわからない」と頭を抱えてはいませんか?素形材産業を含む特定技能「製造業」分野は、外国人からも人気が高く、深刻化する製造業の人手不足の解消が期待できる在留資格です。しかし、統合や細かい業務区分など、制度の理解までに時間がかかりますよね。この記事では、特定技能「素形材産業」の対象業務や採用時の注意点などを解説しています。特定技能制度を活用したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

特定技能「素形材産業」とは

特定技能「素形材産業」は、2019年に創設された特定技能・製造業分野の一つです。元々は、素形材産業として独立した分野でしたが、2022年5月に製造3分野が統合し、特定技能「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」となりました。また、「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」は新たに業種・業務区分が追加され、分野名も「工業製品製造業分野」に変更する閣議決定が2024年3月になされました。新分野が定められるまでは従前の例によるとされています。

特定技能とは

特定技能は、在留資格(通称・ビザ)の一種です。外国人労働者が日本人と同じ条件で就業でき、深刻化する日本の人手不足を解消するために創設されました。特定技能外国人は、一定の技能水準や知識を保有し即戦力として雇用できるため近年需要が高まっています。

素形材産業分野で製造されている製品

素形材産業分野は、金属やプラスチック、ファインセラミックスなどの素材に熱や圧力を加えて変形、加工を施して製品を製造する産業です。金属を溶かして型に流し込む鋳物や金属プレス品、ボルト・ナット・小ねじなどが該当し、日本の工業製品の土台を担う分野ですが、深刻な人手不足に陥り継続経営が困難な企業も存在します。

「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」で受け入れ可能な業務区分

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業の業務区分は、下記の3つに分かれています。特定技能外国人は従事する業務区分に加え、下記に例えられる関連業務にも付随的に従事が可能です。

 

【業務区分】

  • 機械金属加工
  • 電気電子機器組立て
  • 金属表面処理

 

【関連業務例】

  • 原材料・部品の調達・搬送作業
  • 各職種の前後工程作業
  • クレーン・フォークリフト等の運転作業
  • 清掃・保守管理作業など

特定技能「素形材産業」に該当する業種と職種

素形材産業に該当する19業種及び特定技能外国人材が従事できる職種は、下記の通りです。

素形材産業に該当する業種 素材系産業で特定技能外国人が従事できる職種
鋳型製造業(中子を含む)

鉄素形材製造業

非鉄金属素形材製造業

機械刃物製造業

作業工具製造業

配管工事用附属品製造業(バルブ・コックを除く)

金属素形材製品製造業

溶融めっき業(表面処理鋼材製造業を除く)

電気めっき業(表面処理鋼材製造業を除く)

金属熱処理業

その他金属表面処理業(アルミニウム陽極酸化処理業に限る)

ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業

はん用機械器具製造業(消火器・消化装置製造業を除く)

生産用機械器具製造業

業務用機械器具製造業(医療用機械器具・医療用品製造業・武器製造業を除く)

電機部品・デバイス・電子回路製造業

電気機械器具製造業(内燃機関電装品製造業を除く)

情報通信機械器具製造業

工業用模型製造業

鋳造(鋳鉄鋳物鋳造、非鉄金属鋳物鋳造)

鋳造(ハンマ型鋳造、プレス型鋳造)

ダイカスト(ホットチャンバダイカスト、コールドチャンバダイカスト)

機械加工(普通旋盤、フライス盤、数値制御旋盤)

金属プレス加工(金属プレス)

鉄工(構造物鉄工)

工場板金(機械板金)

めっき(電気めっき、溶融亜鉛めっき)

アルミニウム陽極酸化処理(陽極酸化処理)

仕上げ(治工具仕上げ、金型仕上げ、機械組み立て仕上げ)

機械検査

機械保全

塗装

溶接

特定技能「製造業」の取得方法

素形材産業の特定技能1号を取得するには、18歳以上の男女で該当する試験に合格する【試験ルート】と、技能実習から資格を移行する【技能実習ルート】があります。ここでは、特定技能1号と2号の取得方法を解説します。

試験ルート

「製造業」の特定技能1号【試験ルート】とは、下記の試験に合格して資格を取得する方法です。

試験名 合格基準
日本語能力試験N4以上もしくは

国際交流基金日本語基礎テスト200点以上

基本的な日本語が理解できるレベル
製造分野特定技能1号評価試験 正答率:学科65%以上/実技60%以上

 

特定技能「製造業」の特定技能評価試験は3区分・19技能に分かれており、学科と実技合わせて80分の試験が設けられています。学科試験は問題文の内容に対して成否を選択する問題です。実技試験は、実際の作業工程や材料に関する内容を読んで正解を選ぶ問題となっています。

技能実習ルート

【技能実習ルート】は、技能実習生から特定技能に在留資格を移行する方法です。素形材産業に関連する職種で日本国内で3年以上の実務経験を有し、技能実習2号を良好に修了した実習生は【試験ルート】で実施される試験が免除され、習得技能と関連性が認められる業務区分の特定技能1号に移行できます。

特定技能1号「製造業」で従事する外国人材は、令和5年12月時点で40,069人(機械金属加工31,605人/電気電子機器組み立て7,725人/金属表面処理737人)で、そのうち39,271人は【技能実習ルート】で特定技能を取得しました。移行可能な対象作業は、下記の通りです。

特定技能分野(業務区分) 技能実習対象作業
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業(機械金属加工) 鋳鉄鋳物鋳造/非鉄金属鋳物鋳造

ハンマ型鍛造/プレス型鍛造

ホットチャンバダイカスト/コールドチャンバダイカスト

普通旋盤/フライス盤/数値制御旋盤/マシニングセンタ

金属プレス

構造物鉄工

機械板金

治工具仕上げ/金型仕上げ/機械組立仕上げ

機械検査

機械系保全

回転電機組立て/変圧器組立て/配電盤・制御盤組立て/開閉制御器具組立て/回転電機巻線製作

圧縮成形/射出成形/インフレーション成形/ブロー成形

建築塗装

金属塗装

鋼橋塗装

噴霧塗装

手溶接/半自動溶接

工業包装

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業(電気電子機器組立て) 普通旋盤/フライス盤/数値制御旋盤/マシニングセンタ

治工具仕上げ/金型仕上げ/機械組立仕上げ

機械検査

機械系保全

電子機器組立て

回転電機組立て/変圧器組立て/配電盤・制御盤組立て/開閉制御器具組立て/回転電機巻線製作

プリント配線板設計/プリント配線板製造

圧縮成形/射出成形/インフレーション成形/ブロー成形

工業包装

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業(金属表面処理) 電気めっき/溶融亜鉛めっき

陽極酸化処理

特定技能2号の取得方法

特定技能2号の取得には、日本国内に拠点を持つ企業の製造現場で3年以上の実務経験と下記のいずれかの検定及び試験に合格する必要があります。

取得方法 検定・試験名 備考

右記の

両方に

合格

ビジネス・キャリア検定3級 生産管理プランニング区分、

生産管理オペレーション区分のいずれか

製造分野特定技能2号評価試験 機械金属加工区分、電気電子機器組立て区分、

金属表面処理区分のいずれか

技能検定1級 鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、

金属プレス加工、鉄工、工場板金、めっき、

アルミニウム陽極酸化処理、仕上げ、

機械検査、機械保全、電子機器組立て、

電気機器組立て、プリント配線板製造、

プラスチック成形、塗装、工業包装のいずれか

特定技能「製造業」で外国人人材を雇用する条件

ここでは、特定技能外国人材の受け入れ企業・特定技能所属機関になるための要件を紹介します。

対象産業の事業を継続している

素形材産業の特定技能所属機関は、対象産業事業に該当する企業でなければなりません。該当審査基準は、下記の通りです。

  • 直近1年間で対象産業に該当する事業を継続し、製造品出荷額等が発生している
  • 直近1年間で売り上げを得た製造品は、事業者所有の原材料にて製造し出荷されたものである

製造業特定技能協議・連絡会へ加入

素形材産業の特定技能所属機関は、「製造業特定技能協議・連絡会」への加入が必要です。3分野統合前に加入済の場合は、再加入の必要はありません。製造業特定技能協議・連絡会は申請時に必要な書類が多いので、時間に余裕をもって準備を進めましょう。

支援体制の整備

特定技能所属機関は、特定技能外国人への支援義務があります。省令で定められている支援は下記の10項目ですが、義務的支援などは登録支援機関に委託が可能です。

  • 事前ガイダンス
  • 生活オリエンテーション
  • 出入国する際の送迎
  • 住居や生活に必要な契約支援
  • 公的手続き等への同行
  • 日本語学習機会の提供
  • 相談・苦情への対応
  • 日本人との交流促進
  • 転職支援
  • 定期的な面談・行政機関への通報

雇用形態

特定技能外国人の雇用形態は、直接雇用のフルタイムのみ、給与は日本人労働者と同等以上と定められています。給与の未払い等を防ぐため、給与は銀行振込のみです。

特定技能「素形材産業」で外国人を雇用する際の注意点

 

企業からの質問の多くに、「外国人が従事する予定の業種や製造品が特定技能の対象作業になっているか」が挙がります。特定技能では、該当する製造品以外での就労や申請したレーン及び作業以外での従事は禁止されており、関連企業であっても事業所ごとに申請が必要です。素形材産業を含む製造業分野の該当作業は細かく設定されており、不法就労には罰則も設けられています。作業が該当するか不明な場合は、事前に問い合わせて確認しましょう。

まとめ

素形材産業の特定技能は、手続きや規定が細かく設定され煩わしさを感じる場合もありますが、制度を正しく理解して利用すれば素形材産業の人手不足解消が期待できます。

 

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