製造業で特定技能外国人の採用を考えている方へ!特定技能の特徴から受け入れ方法など押さえておくべきポイントを解説!

外国人採用

2024/03/01

「特定技能外国人制度」(以下「特定技能」)は、労働力として外国人材を採用し日本の人手不足を解消するため2019年4月に創設された在留資格です。人手不足で生産ラインが確保できず、会社の利益や黒字倒産の危機に直結しやすい製造 […]

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「特定技能外国人制度」(以下「特定技能」)は、労働力として外国人材を採用し日本の人手不足を解消するため2019年4月に創設された在留資格です。人手不足で生産ラインが確保できず、会社の利益や黒字倒産の危機に直結しやすい製造業でも活躍が期待されていますが、実際どういった制度なのでしょうか?

 

本記事では、特定技能外国人材の技能水準や受入れ企業の条件、費用などを解説しています。即戦力となる特定技能外国人採用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

特定技能外国人制度「製造業」とは

特定技能「製造業」は、14分野あった特定技能のうち「素形材」「産業機械」「電気電子情報関連」の分野を統合した在留資格です。製造業は、初心者でも始めやすく専門性も高いので外国人からも人気があります。特に「産業機械製造業分野」の特定技能は、受け入れ見込み数を超えたため在留資格認定交付が一時停止するほど人気でした。

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造が統合

令和4年4月から特定技能「素材系分野」「産業機械分野」「電気電子情報関連製造」が統合され、「製造業分野」となりました。特定技能は分野ごとに申請を行う必要があります。1事業所で複数の分野の受け入れを行う製造業は手続きが煩雑でしたが、特定技能「製造業分野」として統合され、事業所が行う申請の負担が軽減されました。

 

一時停止していた「産業機械製造業分野」の在留認定交付は分野統合により再び受け入れが可能となっています。

特定技能1号と2号の違い

2024年から特定技能「製造業」でも、特定技能2号の取得が可能になりました。特定技能1号と2号の違いを下記にまとめたので、参考にしてみてください。

特定技能1号 特定技能2号
試験レベル 相当程度の知識や技能を有する 熟練した知識や技能を有する
取得方法 日本語試験+技能検定1級合格 技能検定2級合格及びビジネス・キャリア検定3級取得もしくは技能検定1級取得

+実務経験

在留期間 通算5年

4か月・6か月・1年ごとの更新

申請上限なし

6か月・1年・3年ごとの更新

家族帯同 基本的に☓ 要件を満たせば◯
支援計画の策定 必須 不要
受入見込数 1,300人 上限なし

特定技能「製造業」外国人採用時の注意点

特定技能外国人材は、申請した製造ラインでのみ業務が可能です。同じ業務に従事する日本人が交代で複数のラインに従事している場合でも、特定技能外国人は別ラインでの作業や関連会社への異動は認められていません。また、特定技能外国人材は申請した製造ライン上であっても、区分対象外の製造物の製造も禁止されています。

複数の製造物や事業所で特定技能外国人制度を利用する場合は、製造物・事業所ごとに届出を行ってください。

特定技能外国人制度「製造業」の外国人材の職種や業務内容

19区分に別れていた特定技能「製造業」で受け入れ可能な業務区分は、令和4年8月より下記の3区分となりました。

業務区分 対象技能 定義
機械金属加工 鋳造・鉄工・塗装・ダイカスト・機械加工・電気機器組立て・金属プレス加工・仕上げ・機械検査・工場板金・プラスチック成形・機械保全・鍛造・溶接・工業包装 作動者の支持を理解、または自らの判断で素形材製品や産業機械等の製造工程の作業に従事
電気電子機器組立て 機械加工・プリント配線板製造・仕上げ・機械検査・プラスチック成形・機械保全・電気機器組立て・工業包装・電子機器組立て 指導者の指示を理解、または自らの判断により電気電子機器等の製造工程、組立工程の作業に従事
金属表面処理 めっき・アルミニウム陽極酸化処理 指導者の指示を理解、または自らの判断により表面処理等の作業に従事

 

特定技能「製造業」で外国人採用をした場合、上記の業務区分に加え同じ業務を行う日本人が行っている関連業務に付随的に従事できます。例として挙げられる関連業務は下記の通りです。

 

関連業務例

  • 原材料・部品の調達・搬送作業
  • 各職種の前後工程作業
  • クレーン・フォークリフト等の運転作業
  • 清掃・保守管理作業

 

3分野統合前に各分野で在留資格を取得した外国人は、新区分で対応する業務で従事が可能です。ここでは特定技能「製造業」の外国人採用を考えている場合に該当する業種や任せられる業務区分を紹介します。

素形材産業分野

素形材産業分野とは、金属やプラスチック、ファインセラミックスなどの素材を変形し、加工を施して製品を製造する産業を指します。

素形材産業に該当する業種及び特定技能外国人材が従事できる職種は、下記の通りです。

素形材産業に該当する業種 素材系産業で特定技能外国人が従事できる職種
鋳型製造業(中子を含む)

鉄素形材製造業

非鉄金属素形材製造業

作業工具製造業

配管工事用附属品製造業(バルブ・コックを除く)

金属素形材製品製造業

金属熱処理業

工業窯炉製造業

弁・同附属品製造業

鋳造装置製造業

金属用金型・同部分品・附属品製造業

非金属用金型・同部分品・附属品製造業

その他の産業用電気機械器具製造業(車両用、船舶用を含む)

工業用模型製造業

鋳造(鋳鉄鋳物鋳造、非鉄金属鋳物鋳造)

鋳造(ハンマ型鋳造、プレス型鋳造)

ダイカスト(ホットチャンバダイカスト、コールドチャンバダイカスト)

機械加工(普通旋盤、フライス盤、数値制御旋盤)

金属プレス加工(金属プレス)

鉄工(構造物鉄工)

工場板金(機械板金)

めっき(電気めっき、溶融亜鉛めっき)

アルミニウム陽極酸化処理(陽極酸化処理)

仕上げ(治工具仕上げ、金型仕上げ、機械組み立て仕上げ)

機械検査

機械保全

塗装

溶接

産業機械製造業

産業機械製造業は、工場や事務所内で利用される機械を製造する産業を指します。

産業機械製造業に該当する業種及び特定技能外国人材が従事できる職種は、下記の通りです。

産業機械製造業に該当する業種 産業機械製造業で特定技能外国人が従事できる職種
機械刃物製造業

ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業

はん用機械器具製造業(消火器具・消火装置製造業及び素材系産業分野に該当する業種は除く)

生産用機械器具製造業(素材系産業分野に該当する凝集は除く)

管理、補助的経済活動を行う事業所(27業務用機械器具製造業)

事務用機械器具製造業

サービス用・娯楽用機械器具製造業

計量器・測定器・分析機器・試験機・測量機械器具・理化学機械器具製造業

光学機械器具・レンズ製造業

鋳造

鍛造

ダイカスト

機械加工

金属プレス加工

鉄工

工場板金

めっき

仕上げ

機械検査

機械保全

電気機器組立て

電子機器組立て

プリント配線板製造

プラスチック成形

塗装

溶接

工業包装

電気・電子情報関連産業

電気・電子情報関連産業は、電化製品や電子部品を製造する産業を指します。

電気・電子情報関連産業に該当する業種及び特定技能外国人材が従事できる職種は、下記の通りです。

電気・電子情報関連産業に該当する業種 電気・電子情報関連産業で特定技能外国人が従事できる職種
電子部品・デバイス・電子回路製造業

電子機械器具製造業(内燃機関電装品製造業及び素形材産業分野に該当する業種は除く)

情報通信機械器具製造業

機械加工

機械保全

塗装

金属プレス加工

電子機器組立て

溶接

工場板金

電気機器組立て

工業包装

めっき

プリント配線板製造

仕上げ

プラスチック成形

特定技能「製造業」を取得するには

特定技能「製造業」を取得するには、18歳以上の男女で日本語検定及び特定技能試験に合格する【試験ルート】と、技能実習生から在留資格を移行する【技能実習ルート】があります。ただし、イラン・イスラム共和国から外国人材を受け入れることはできません。

ここでは、各ルートの資格取得方法を紹介します。

特定技能1号

【試験ルート】で「製造業」の特定技能1号を取得するには、下記の試験に合格する必要があります。

 

  • 日本語能力試験N4以上もしくは国際交流基金日本語基礎テスト200点以上合格

(基本的な日本語を理解することができるレベル)

  • 製造分野特定技能1号評価試験合格(学科・実技)

 

特定技能2号

「製造業」の特定技能2号を取得する方法は下記の2つのルートがあり、各ルートの条件を全て満たす必要があります。

 

【特定技能2号評価試験ルート】

  • ビジネス・キャリア検定3級取得(生産管理プランニング区分、生産管理オペレーション区分のいずれか)
  • 製造分野特定技能2号評価試験合格(機械金属加工区分、電気電子機器組立て区分、金属表面処理区分のいずれか)
  • 日本国内に拠点を持つ企業の製造現場で3年以上の実務経験

 

【技能検定ルート】

  • 技能検定1級取得(鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属プレス加工、鉄工、工場板金、めっき、アルミニウム陽極酸化処理、仕上げ、機械検査、機械保全、電子機器組立て、電気機器組立て、プリント配線板製造、プラスチック成形、塗装、工業包装のいずれか)
  • 日本国内に拠点を持つ企業の製造現場で3年以上の実務経験

 

在留資格・技能実習から移行

「税金の未納がない」「素行不良でない」などの条件を満たし、技能実習2号を良好に修了した実習生は特定技能評価試験や日本語検定試験が免除され、習得した技能と関連性が認められる業務区分で特定技能1号に在留資格の移行ができます。

 

特定技能「製造業」で従事する外国人材は、令和5年6月時点で35,641人(機械金属加工23,978人/電気電子機器組み立て5,970人/金属表面処理448人)です。そのうち、34,807人は【技能実習ルート】で特定技能の在留資格を取得しています。

特定技能「製造業」で外国人人材を雇用する条件

特定技能外国人材を受け入れる企業を特定技能所属機関といいます。下記の要件を満たしている企業は、特定技能所属機関として外国人材を採用できる可能性があるので確認してみましょう。

対象産業に該当する事業を継続している

特定技能外国人を採用する場合、下記の要件を満たす必要があります。申請する事業所が特定技能所属機関の判断基準に該当しているか確認しましょう。

 

  • 直近1年間で対象産業に該当する事業を継続し、製造品出荷額等が発生している
  • 直近1年間で売り上げを得た製造品は、事業者所有の原材料にて製造し出荷されたものである

製造業特定技能協議・連絡会へ加入

特定技能「製造業」で外国人材を採用する場合は、「製造業特定技能協議・連絡会」に加入する必要があります。3分野統合前に加入済の場合は再加入する必要はありません。製造業特定技能協議・連絡会は、特定技能外国人の適正な受け入れや保護、受け入れ状況の地域差の発生防止に貢献するために運営されています。

 

製造業特定技能協議・連絡会の申請には多くの必要書類を用意しなくてはならないので、準備は早めに行いましょう。

支援体制の整備

特定技能所属機関は、該当する外国人の生活支援義務があり申請時に支援計画を提出して実行する必要があります。自社での支援が難しい場合、省令で定められている下記の10項目のうち義務的支援などは、登録支援機関に委託できるので検討してみましょう。

  • 事前ガイダンス
  • 生活オリエンテーション
  • 出入国する際の送迎
  • 住居や生活に必要な契約支援
  • 公的手続き等への同行
  • 日本語学習機会の提供
  • 相談・苦情への対応
  • 日本人との交流促進
  • 転職支援
  • 定期的な面談・行政機関への通報

雇用形態

特定技能外国人の雇用形態は、下記の通りに定められています。

 

  • 直接雇用のみ
  • 就業時間は、週5日以上、年間217日以上、週労働30時間以上のフルタイム
  • 給与は日本人労働者と同等以上(給与は銀行振込のみ)

製造業特定技能協議・連絡会へ加入する際の注意点

製造業特定技能協議・連絡会の加入は、事前申請制です。他の特定技能分野で加入する協議会は該当する外国人が入社後もしくは入国後4か月以内に加入するケースが多いですが、「製造業」で特定技能外国人を雇用する場合は、在留資格申請前に登録支援機関の選定などを済ませて加入手続きを行います。

さらに製造業特定技能協議・連絡会は、加入時の必要書類が多く、事業所が受け入れ要件を満たしているかなどの条件が複雑です。申請書の不備等で審査が長引く場合もあるので、準備は早めに行うといいでしょう。

また、「製造業」では、1つの事業所ごとに協議・連絡会への加入申請を行います。既に入会申請をしている製造ラインとは別のラインに特定技能外国人を従事させる場合は、似たような製品であっても申請が必要です。

特定技能「製造業」で外国人材を採用するためにかかる費用

特定技能「製造業」では技能実習から特定技能1号へ移行するケースが多く、企業側が既に雇用している人材を採用する場合は人材紹介料や渡航費などはかかりません。

技能実習2号から特定技能1号へ移行する場合の費用相場を下記にまとめたので参考にしてみてください。

在留資格認定の申請書類作成の委託費用 手続きが煩雑なので、ほとんどの企業が申請業者に委託している 10~20万円
事前ガイダンスや生活オリエンテーションの委託費用 実施を外部に委託する場合の委託金 2~4万円/項目
登録支援機関への委託費用 登録機関へ義務的支援などを委託する場合、特定技能外国人一人当たりにかかる費用 2~3万円/月
在留資格更新費用 在留資格更新時にかかる費用 4~8万円

 

技能実習2号からの移行ではなく、【試験ルート】で特定技能外国人人材を採用する場合は、上記に加え人材紹介料が約10~30万円や渡航費用、住居の準備費用、送り出し費用などがかかる場合があります。

まとめ

特定技能「製造業」で外国人採用をすると即戦力となる人材が確保でき、製造業を悩ます人手不足の解消が期待できます。また、特定技能「製造業」では、技能実習から在留資格を移行するケースが多いので日本生活に馴染みのある外国人を採用でき、企業側としても採用しやすいメリットもあります。

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