フィリピン人を雇用する際に知っておきたいPOEA・POLOを解説

国別紹介

2022/10/11

フィリピン人を雇用する際に知っておきたいPOEA・POLOを解説

フィリピンは、海外で雇用される自国労働者からの送金が国内総生産(GDP)の約9%となっており、フィリピン経済における大きな比重を占めています。2021年における送金額は、前年比5.1%増の349億ドル(約4兆円)と過去最 […]

目次

フィリピンは、海外で雇用される自国労働者からの送金が国内総生産(GDP)の約9%となっており、フィリピン経済における大きな比重を占めています。2021年における送金額は、前年比5.1%増の349億ドル(約4兆円)と過去最高を記録し、フィリピン経済において海外で雇用される自国労働者からの送金は欠くことのできないものとなっています。

そのためフィリピンでは、POEAやPOLOといった機関を設置し、海外における自国労働者の保護を図っています。また、海外におけるフィリピン人の直接雇用を原則として認めず、認定送出機関からの紹介を必要としていることも自国労働者保護の表れです。

当記事では、外国人雇用の中でも特にフィリピン人の雇用に焦点を絞って解説を行います。POEAとPOLOの役割や手続きの流れも解説しているので、フィリピン人の雇用を考えている方はぜひ参考にしてください。

フィリピン人を雇用する際に知っておきたいPOEA・POLO

外国人労働者数は、2021年10月末において約173万人となっており、国籍別内訳としては、ベトナム人の約45万人を筆頭として、中国人約40万人、フィリピン人約19万人と続いています。外国人労働者数に占めるフィリピン人の割合は、在留外国人数の割合とほぼ同様の約11%となっており、生活の場だけでなく、職場においてもフィリピン人が身近な存在であることがわかります。

参考:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況【概要版】(令和3年 10 月末現在)」

また、外国人が日本において就労するためには、永住者や日本人の配偶者等の就労に制限のない身分系在留資格や、特定技能、経営・管理といった就労可能な在留資格を保有している必要があります。

ただし、フィリピン人の雇用においては、日本における在留資格の手続きだけでは足りず、フィリピン国内のPOEA及び日本国内のPOLOへの手続きが必要です。次からは、フィリピン人雇用に深く関わるPOEA及びPOLOの解説を行っていきます。

POEAとは

読み方:POEA(ピー・オー・イー・エー)

POEAとは、フィリピン海外雇用庁(Philippine Overseas Employment Administration)の略称で、就労者の出国支援や海外送出機関の審査等を行っています。フィリピン労働雇用省管轄下の機関で、海外で就労するフィリピン人の管理を行い、POEAの認定を受けた送出機関だけが、海外へフィリピン人を送り出すことが可能です。

フィリピン人が海外で就労するためには、POEAから「海外雇用許可証(OEC)」の発行を受ける必要があります。OECを取得していなければ、就労目的でフィリピンを出国することはできず、一時的な帰国の場合であっても、就労目的で再び日本に戻る際にはOECの再交付が必要です。

POLOとは

読み方:POLO(ポロ)

POLOとは、駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所(Philippines Overseas Labor Office)の略称で、POEAの海外における出先機関です。POLOは、世界各国に拠点が設けられており、日本においては駐日フィリピン共和国大使館(東京都港区六本木)と在大阪フィリピン共和国総領事館(大阪府大阪市中央区)に設置されています。

POLOは、POEAが定める雇用条件を満たした雇用先であるか確認するために設置されています。フィリピン人の雇用を希望する受入先機関は、POEAに登録されていなければならず、登録を受けるためには、必要書類を提出し、POLOの審査を受けることが必要です。

フィリピン人を雇用する際の手続きの流れ

フィリピン特定技能外国人に係る手続の流れの解説
出典:フィリピン特定技能外国人に係る手続の流れについて

フィリピン人を雇用する際の手続きの流れは、上記画像のようになります。画像は特定技能外国人の場合の手続きですが、他の就労可能な在留資格であっても、就労目的での出国にはOECの交付を受ける必要があることや、受入先機関がPOEAに登録された一定の雇用条件基準を満たしている企業等であることを要する点に違いはありません。

日本に在留するフィリピン人が、就労可能な在留資格に変更する場合であれば、OECの発行は不要となります。ただしこれは日本に在留している間のみであり、一旦フィリピンに帰国した場合には、OECの交付を受けなければ、就労目的での出国はできません。

また、POLOへ提出する申請書類は、英文での記入が必要となり、登記簿謄本等の日本語でしか書かれていない書類は英訳することが必要です。管轄区域内であれば、駐日フィリピン共和国大使館内に設置されたPOLOだけでなく、在大阪フィリピン共和国総領事館に書類を提出して手続きすることも可能です。

ただし、在大阪フィリピン共和国総領事館には管轄が存在しており、北海道や東北、関東等は管轄区域外であるため、申請に当たっては管轄区域であるかの確認が必要です。

書類審査を通過した後には、POLOにおいて受入先機関代表者や委任された従業員等と労働担当官による面接が行われます。面接は全て英語で行われ、コンサルティング業者や登録支援機関等が代わって面接を受けることはできません。

フィリピン人を雇用する際に注意したいこと

外国人を雇用する際には、在留資格の確認等の日本人の雇用とは異なる注意点が存在します。特にフィリピン人の雇用においては、独自の制度であるPOEAやPOLOでの許可手続きが存在するため、他の国よりも違いが顕著です。

最も顕著な違いとして「直接雇用の禁止」があげられます。フィリピン人を雇用するためには、POEAから認定を受けた送出機関から人材の紹介を受け、送出機関との間で募集取決めの締結が求められています。

そのため受入先機関が認定送出機関からの紹介を受けずに、直接フィリピン人を雇用することは、原則としてできません。ただし、高度人材に該当し、給与や手当等の待遇が一定以上であるとPOEAが認める場合には、直接雇用禁止免除申請を行った上で例外的に直接雇用が可能となります。

また、出国の際に必要となるOECの発行には、有効期限内の在留資格認定証明書が必要です。そのため在留資格認定証明書の有効期間である3ヶ月以内に手続きを終えることが必要となり、フィリピンと日本双方での手続きに掛かる期間を考慮したスケジュールを組むことが大切となっています。

フィリピンは、国民の80%超がカトリックというアジアでは珍しいカトリックの国です。そのためカトリック人口が1%にも満たない日本で雇用され、生活を送る上では宗教上の配慮が必要となる点にも注意を要します。またフィリピン人は、一般的に人前で叱責を受けることを非常に嫌うため、注意や指導を行う際には別室で行う等の配慮が必要です。

フィリピン人の国民性や文化については以下の記事で詳しく紹介しています。

[blogcard url=”https://tokuty.jp/blog/country-introduction/138/”]

おわりに

当記事では、外国人雇用の中でも特にフィリピン人の雇用に焦点を当て、フィリピン独自の雇用制度であるPOEA及びPOLOへの手続きや機関の概要について、解説を行ってきました。

海外送金が自国経済の大きな柱となっているフィリピンでは、直接雇用の禁止やPOEAへの受入先機関の登録を通じて、海外における自国労働者の労働環境保護を行うことが重要な施策となっています。しかしその反面で雇い入れる受入先機関としては、他の外国人労働者とは異なる煩雑な手続きを求められることに繋がり、フィリピン人の雇用を困難なものとしていることも事実です。

当記事ではフィリピン人を雇用する場合における注意点の解説も行っているため、これからフィリピン人の雇用を考えている方は、ぜひ参考にしてフィリピン人労働者の活用を行ってください。

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