ミャンマーは東南アジアに位置し、インド・バングラデシュ・中国・ラオス・タイに隣接する多民族国家です。最大都市はヤンゴン、首都はネピドーで、外資系企業の多くはヤンゴンに拠点を構えています。
近年では、日本企業によるミャンマー人材の採用が進んでおり、特に製造・介護・建設などの分野でニーズが高まっています。しかし、文化や価値観の違いによる職場トラブルを防ぐには、事前の理解と配慮が欠かせません。
この記事では、ミャンマー人の国民性や特徴、採用・雇用時に注意すべき文化的なポイントを最新の採用トレンドを踏まえて詳しく解説します。人事・採用担当者の皆さまに向けて、円滑な雇用のためのヒントをご紹介します。
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ミャンマーという国の特徴と、ミャンマー人の海外就労背景
ミャンマー人材の採用を検討する企業にとっては、国としての基本的な特徴と、なぜ海外就労を希望する人が多いのかという背景を知っておくことが大切です。このセクションでは、ミャンマーという国の概要と、海外就労意欲の高まりについて解説します。
ミャンマーの地理・文化・宗教など基本情報
ミャンマーは東南アジアに位置する多民族国家で、かつて「ビルマ」とも呼ばれていました。中国、タイ、インドなど6か国と国境を接し、豊かな自然と農業中心の産業構造を持ちます。
国民の約9割が仏教徒であり、穏やかで信仰心の強い国民性が根付いています。また、ビルマ族を中心にカレン族、シャン族など135以上の民族が共存しており、多文化的な社会が形成されています。
多民族国家ミャンマーの政治・経済情勢と海外就労意欲の高まり
ミャンマーは長らく軍事政権が続いていましたが、2011年から民政移管が始まり、アウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)が政権を担うようになりました。
しかし2021年の軍事クーデターにより再び軍政体制へと戻り、現在(2025年)も民主派勢力との衝突が続いています。
この政情不安により、治安や産業活動は混乱し、経済も大きく落ち込んでいます。物価の上昇や外貨不足などにより生活は困窮し、特に若年層の間で「海外で働きたい」と希望する人が急増しています。
日本での就労は、生活の安定だけでなく、家族を支える手段としても非常に魅力的とされており、まじめで勤勉な人材を求める企業にとっては、ミャンマー人材は注目すべき存在です。
ミャンマー人の国民性・文化的特徴とは?職場での対応ポイントも紹介
ここでは、ミャンマー人の性格や文化的背景に基づく特徴について解説します。これらの特徴を理解しておくことで、採用後のミスマッチを防ぎ、長く定着してもらえる環境づくりに役立ちます。
ミャンマー人の性格は温和で思いやりが強い
ミャンマー人は穏やかで協調性のある性格の人が多く、人前で怒らない・争わない文化が根付いています。これは、国民の多くが仏教徒であり「徳を積む」「怒らないことが美徳」とされているためです。
また、家族や友人を非常に大切にし、進路や就職の決定にも家族の意向を重視する傾向があります。こうした背景を理解することで、価値観に沿った接し方ができるようになります。
ミャンマー人は叱責に敏感。注意は穏やかな伝え方で
ミャンマーでは、職場で上司が部下を人前で叱る文化はほとんどありません。そのため、日本のような厳しい叱責は大きなストレスや不信感につながることがあります。
注意や指導を行う際は、落ち着いた場で個別に伝える、感情的にならずに「アドバイス」の形で伝えるなど、丁寧な配慮が求められます。
ミャンマー人の働き方の特徴と適応力
ミャンマー人は、勤勉でまじめな性格から高い労働意欲を持っている人が多いです。職場でも協調性を重視し、チーム全体の調和を意識した言動が見られます。
一方で、叱責や怒りの表現には非常に敏感で、ショックを受けて職場を離れるケースもあるため、穏やかなコミュニケーションが必要です。
総じて、ミャンマー人は日本人の働き方や価値観と親和性が高く、適応力にも優れているため、日本企業での定着率も高い傾向があります。
ミャンマー人は親日的で日本文化への理解が深い
ミャンマーは東南アジアの中でも親日的な国民性を持つ国のひとつです。歴史的な友好関係に加えて、日本のアニメや漫画文化も人気があり、若年層を中心に日本への関心が高まっています。
こうした背景もあり、日本での就労に対して前向きで意欲的な人が多く、日本企業への適応力の高さにもつながっています。
ミャンマー人の仕事における水準と採用メリット
ミャンマー人を採用する際には、母国での労働環境や平均的な収入水準を把握しておくことが重要です。日本との経済格差や職業観の違いを理解することで、より適切な人材選定や職場定着につなげることができます。
この章では、ミャンマー国内の就労状況や平均収入に触れつつ、日本企業がミャンマー人材を採用するメリットについて詳しく解説します。
ミャンマー人の平均収入と就労環境
ミャンマーでは「年収」という概念が一般的ではなく、給与は月収ベースで支払われるのが通例です。2025年現在、都市部であっても平均月収は約3万円前後にとどまっており、生活コストの上昇に賃金水準が追いついていない状況です。
この背景には、長年の政治的混乱や、企業が人件費の上昇を抑えようとする動きがあります。そのため、経済的な安定を求める若者を中心に、海外就労を目指す動きが年々強まっています。
職種別で見ると、法律・金融といった専門職が比較的高収入となる一方、全体としては貯金も難しい経済状況にあるため、外資系企業や日本での就職を希望するケースが増加しています。
特定技能分野におけるミャンマー人の活躍
出入国在留管理庁の公表資料によると、令和6年12月末時点で特定技能1号として日本に在留するミャンマー人は27,337人にのぼり、介護分野(11,717人)や飲食料品製造業分野(8,561人)、外食業(3,643人)などで多く活躍しています。
こうした統計からも、ミャンマー人材は日本国内において、特に人手不足が深刻な業種で即戦力として期待されていることがわかります。
参照:出入国在留管理庁|令和6年12月末 特定技能1号 在留外国人数(国籍・分野別)
ミャンマー人を採用するメリットとは?
外国人材の中でも、ミャンマー人を採用するメリットにはどのような点があるのでしょうか?日本の企業文化との親和性や就労意欲の高さなど、魅力的な特徴を持っています。
1. 勤勉で真面目な性格
ミャンマー人は穏やかで協調性が高く、日本人と似た勤勉さを持つ傾向があります。与えられたタスクを期限内に丁寧にこなす姿勢は、多くの企業で高く評価されています。
また、社内での人間関係を大切にし、口論やトラブルを避ける傾向があるため、落ち着いた職場環境を望む企業にとっては非常に相性が良いといえるでしょう。
2. 日本語習得が比較的スムーズ
ミャンマーの公用語であるビルマ語と日本語は、語順や文法が似ているという特徴があります。そのため、ミャンマー人は日本語の習得が早く、業務上の会話にもスムーズに対応できるケースが多いです。
日本企業が採用時に重視する語学面でも、ミャンマー人材は習得スピードや実用レベルの高さにおいて安心感があります。
ミャンマー人を雇用する際の注意点と制度上のポイント
ミャンマー人材を雇用する際には、日本側の制度だけでなく、ミャンマー国内の制度や手続きにも注意が必要です。とくに特定技能制度を活用する場合、送り出し機関の選定や必要書類の準備に時間がかかるため、採用前に十分な確認と準備が求められます。
特定技能に対応した認定送り出し機関を利用する
ミャンマーでは、すべての送り出し機関が特定技能制度に対応しているわけではありません。ミャンマー政府により認定された機関のみが、日本への特定技能人材の送り出しを行うことができます。
適切な手続きを行うためにも、出入国在留管理庁やJITCO(国際研修協力機構)などの公的機関が公開している最新のリストを確認し、正規のルートを通じて採用を進めることが重要です。
海外就労許可証(スマートカード)の取得が必要
ミャンマー人が海外で就労するには、「OWIC(Overseas Worker Identification Card)」と呼ばれる海外就労許可証、通称「スマートカード」の取得が義務付けられています。
発行には最大で半年程度かかることがあり、日本側の「在留資格認定証明書」の有効期限(発行から3ヶ月)とのスケジュール調整が難航するケースも少なくありません。
スムーズに入国・就労を開始できるよう、スマートカードの取得スケジュールは事前に確認し、早めの準備・申請を心がけましょう。
ミャンマー人の採用方法|在住者・現地採用の手続きと違い
本章では、ミャンマー人材を採用する2つの主要ルートと、それぞれの手続き上の注意点について解説します。
- 日本国内に在住しているミャンマー人を採用する
- ミャンマー現地に在住する人材を採用する
採用ルートによって必要な手続きが大きく異なるため、事前の理解が重要です。
日本在住のミャンマー人を採用する場合
日本国内に既に在留しているミャンマー人を採用する場合、ミャンマー側の送り出し機関との手続きは不要です。企業と人材が直接契約を交わすことで採用が可能になります。
採用にあたっては、在留資格の更新や変更、パスポートの更新申請、在留資格認定証明書の取得など、日本国内で完結する手続きを行えば、比較的スムーズに雇用を開始できます。
ミャンマー現地在住者を採用する場合
ミャンマー国内から人材を新たに受け入れる場合は、ミャンマー政府から認定を受けた送り出し機関を通じての採用が義務づけられています。
手続きの流れとしては、まず日本の受け入れ企業が求人を作成し、現地の送り出し機関を通じてミャンマー労働・入国管理・人口省に提出。政府の許可を得た上で、候補者の選定・面接・雇用契約が進められます。
加えて、以下のような複数の手続きが必要です:
- 海外労働許可証(スマートカード/OWIC)の取得
- 在留資格認定証明書の申請・交付
- ビザの申請・発行
これらのプロセスには数ヶ月かかる場合もあり、余裕を持ったスケジュール管理が必要です。
ミャンマー人材の採用には「特定技能」資格がおすすめ
近年、日本の人手不足を背景に、「特定技能」制度を活用した外国人採用が広がりを見せています。特定技能人材は、日本人と同等の待遇・職務内容での雇用が前提となっており、一定の技能と日本語能力を有する人材の確保が可能です。
ミャンマーからも特定技能制度を活用して来日する人材が増えており、今後ますます需要が高まると予想されます。また、特定技能人材の転職市場も徐々に活発化しており、意欲の高い人材を確保するには早めのアプローチが鍵となります。
ミャンマー人の勤勉さや親和性の高さを活かしたい企業にとって、特定技能制度は非常に有効な採用手段のひとつです。自社のニーズに合った人材を確保するためにも、制度の活用を積極的にご検討ください。
実際に採用された企業様の声や事例は、こちらの採用実績ページでご紹介しています。
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