多民族・多宗教が共存するマレーシア出身の人材は、異文化適応力や語学力に優れ、海外勤務に前向きな傾向も強いことから、日本企業での採用が近年増加しています。
出入国在留管理庁の統計によれば、2024年12月時点の在日マレーシア人は11,968人であり、日本国内でのマレーシア人材の存在感が着実に高まっています。
本記事では、マレーシア人の性格や特徴、文化的背景、採用時に注意すべきポイント、在留資格・ビザ、雇用コストまで、人事担当者向けに網羅的に解説します。
「マレーシア人を採用するけど性格や文化が心配…」という不安をお持ちの方に向けて、実務で活用できる情報をお届けします。
参照:出入国在留管理庁|統計表 国籍・地域別 在留資格別 在留外国人
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マレーシア人の出身国|文化的背景と基本情報

マレーシアは東南アジアに位置し、マレー半島(西マレーシア)とボルネオ島北部(東マレーシア)で構成される多民族国家です。首都はクアラルンプールで、公用語はマレー語ですが、英語も広く使用されています。
人口は約3,200万人で、主にマレー系・中華系・インド系からなる複数の民族が共存しています。国教はイスラム教ですが、仏教・キリスト教・ヒンドゥー教なども広く信仰され、宗教的な寛容性のある社会が築かれています。
観光業を中心としたサービス業が主要産業であり、年間2,500万〜3,000万人の観光客が訪れる国際的な観光立国でもあります。
教育制度と就職観|マレーシア人のキャリア意識
マレーシアの教育制度は6歳から12歳までの義務教育が基礎となり、その後の中等教育(前期3年・後期2年)を経て大学進学を目指します。大学予備教育も整備されており、国家統一試験の結果に応じて進路が決まります。
多民族国家であるため、教育機関にはマレー語・中国語・タミル語を使用する学校が存在し、マレー語は全生徒の必修科目とされています。
大学卒業後は、年に複数回開催されるジョブフェアなどを通じて就職活動が行われ、政府系機関や外資企業、海外勤務志望者も多い点が特徴です。
マレーシア人の性格・特徴とは?
マレーシア人の性格的な特徴は、多民族社会で育った背景から、柔軟性や協調性が強い点にあります。一方で、企業文化や上下関係に関しては独自の価値観を持つ場合もあり、採用前に理解しておくことが大切です。
異文化を尊重し合う価値観
マレー系・中華系・インド系など多様な民族が生活するマレーシアでは、宗教行事や祝日も多様です。異文化や異なる価値観への尊重が日常に根付いているため、多国籍の職場でも円滑な人間関係を築きやすい傾向があります。
やや控えめでシャイな傾向も
マレーシア人の中には、仕事においても初対面の人とのやり取りよりも、信頼関係のある相手を好む傾向が見られます。トラブル時に直接担当者ではなく、知人の部署に先に連絡することもあるため、コミュニケーション面での配慮が求められます。
役職や上下関係を重視する傾向
マレーシアの企業文化では、役職や年功序列を尊重する風土が根強くあります。そのため、上司から公然と注意を受けることを避けたいという心理が働く人も多く、指導する際は個別に丁寧に伝える方が効果的です。
マレーシア人に多い在留資格と就労分野

日本で働くマレーシア人が取得している在留資格としては、主に以下のような種類があります。
- 技術・人文知識・国際業務(通称:技人国ビザ)
- 留学
- 家族滞在
なかでも就労可能な「技術・人文知識・国際業務」ビザは、企業がマレーシア人材を直接雇用する際に最も利用されている在留資格です。対象となる職種は、技術開発・設計・事務・貿易・通訳・マーケティング・ITエンジニアなど多岐にわたります。
技人国ビザで求められる学歴要件
この在留資格での採用を検討する場合、候補者の学歴や職歴が重要な審査ポイントとなります。基本的には以下のいずれかの学歴要件を満たしていることが求められます。
- 業務に関連する分野を専攻し、大学を卒業していること(または同等の学位を取得)
- 日本の専修学校(専門課程)で、業務に関連する分野を修了していること
学歴が不足する場合の代替要件(職歴・資格)
上記の学歴要件を満たさない場合は、次のいずれかの職歴・資格条件を満たしていればビザ取得が可能となる場合もあります。
- 技術・人文知識分野:10年以上の実務経験
- 国際業務分野:3年以上の実務経験(翻訳・通訳、海外取引、語学指導など)
- IT系の場合:情報処理技術に関する指定資格を保有していること
- インドのDOEACC制度に基づくIT資格を保有していること
専攻と業務の関連性にも注意
学歴・職歴が条件を満たしていても、「大学での専攻内容と実際の業務内容に関連性があるか」が審査で重視されます。たとえば経済学専攻の人をIT技術者として雇うなど、関連性が薄い場合は不許可の可能性もあるため注意が必要です。
マレーシア人材は、英語・マレー語・中国語のトリリンガルや海外経験の豊富さなど、優秀な人材が多く、技人国ビザの活用によって即戦力としての活躍が期待できます。
マレーシア人を自社に採用するメリット

① 日本との親和性が高く、就労への心理的ハードルが低い
マレーシアに進出している日本企業の数は世界でも上位であり、日系企業に対する認知度や信頼感が高い国の一つです。そのため、マレーシア人は日本企業に対して親しみを持っており、職場にも比較的スムーズに馴染みやすい傾向があります。
② 多言語対応力があり、グローバル展開を支援できる
マレーシアは多民族国家であり、多くの人が英語、マレー語、中国語などを使いこなします。社内外での多言語対応が必要なポジションや、海外との取引がある部署においては、即戦力として活躍が期待されます。
③ キャリア意識が高く、成長意欲のある人材が多い
マレーシア人の中には、明確なキャリアビジョンを持ち、海外勤務に前向きな志向を持つ人材も多数います。日本企業の文化や働き方に最初は戸惑うことがあっても、慣れてくれば熱心に業務に取り組み、成果を上げていく可能性が高いです。
マレーシア人を採用する際の注意点

マレーシア人材は優秀で意欲的な人材も多い一方で、多民族国家ならではの文化的背景や価値観の違いを理解しておくことが重要です。
宗教や習慣への配慮、日本企業特有の働き方への慣れ、そして個々の性格の違いを踏まえた柔軟な対応が、円滑な受け入れと定着に繋がります。
ここでは、マレーシア人を採用・受け入れる際に企業側が特に意識すべき3つの注意点を紹介します。
① 出身民族や宗教への理解を深める
マレーシアはマレー系・中華系・インド系など、さまざまな民族が共存する多民族国家です。それぞれの民族によって、価値観や宗教、働き方に対する考え方が異なるため、採用の際には候補者の文化的背景や宗教的配慮が必要です。
たとえばイスラム教徒であれば、食事・礼拝・女性との接し方などに配慮すべき場面もあるため、職場でトラブルが起きないよう事前に双方で認識を共有しておくと安心です。
② 入社初期は丁寧なサポート体制を
日本の職場文化やビジネスマナーに慣れるには時間がかかることもあります。特に「報連相」や「上司への気配り」など、日本特有の暗黙ルールは外国人にとって理解が難しいことも。
最初から日本人社員と同じ水準で働くことを求めるのではなく、業務マニュアルの多言語対応やOJTの強化、メンター制度などを導入し、段階的に慣れてもらう姿勢が大切です。
③ 個人差を見極めた受け入れ判断を
マレーシア人の性格は一般に「穏やかで協調性がある」とされますが、実際には民族性・家庭環境・キャリア志向などによって大きく異なります。採用選考では履歴書やスキルだけでなく、性格・人柄・価値観をよく確認し、社風との相性を見極めることが重要です。
マレーシア人の平均給与と採用コストの目安
マレーシア国内における平均月収はおよそ5,000〜6,000リンギット(約14万〜17万円)とされており、現地では一人暮らしが可能な水準です。
一方で、より高収入やスキルアップを求めて海外勤務を目指すマレーシア人も多く、日本での就労に対して高いモチベーションを持つ人材も少なくありません。
採用コストは他国と大きく変わらない
マレーシア人を自社で雇用する場合、在留資格取得や手続きにかかるコストは、他の外国人材(ベトナム人・フィリピン人など)と大きな差はありません。
ただし、文化や業務への理解度を高めるための研修やマニュアル整備、生活面の支援など、受け入れ体制の整備に一定のコストが発生する点は考慮が必要です。
労働意識や権利意識の違いにも配慮を
マレーシアでは労働に関する規制が比較的厳しく、従業員の権利保護が強く意識されています。万が一、雇用条件に不利益があった場合は公的機関への申告が行われるケースもあるため、日本企業側も労働環境や契約内容を明確に提示し、誤解のないよう対応することが重要です。
マレーシア人の性格や特徴を理解し、活躍できる職場づくりを
マレーシア人材を自社で受け入れる際には、性格や価値観の違い、宗教や文化背景への理解が不可欠です。多民族国家で育ったマレーシア人は、異文化への適応力や協調性に優れている一方で、日本のビジネスマナーや職場ルールに慣れるまでには時間がかかることもあります。
採用後にスムーズに定着・活躍してもらうためには、教育体制やサポート環境の整備はもちろん、本人の特性に合わせた配属やフォローが重要です。優秀なマレーシア人材を長期的に活かすためにも、受け入れる側の姿勢が問われます。
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