特定技能「介護」の概要・雇用する際に知っておきたいポイントを解説!

外国人採用

2024/06/03

介護分野の特定技能制度を知っていますか?国内の人材不足に伴い、2019年に特定技能制度が創設されました。 この記事では、介護分野の外国人人材を受け入れる在留資格との違いや人材要件について解説。これから外国人の雇用を検討す […]

目次

介護分野の特定技能制度を知っていますか?国内の人材不足に伴い、2019年に特定技能制度が創設されました。

この記事では、介護分野の外国人人材を受け入れる在留資格との違いや人材要件について解説。これから外国人の雇用を検討する事業所の方はぜひ参考にしてみてください。

特定技能「介護」の概要

特定技能「介護」は、介護分野で人手不足を補うために導入された制度で、特定の要件を満たす外国人が日本で介護労働を行うことができる在留資格です。特定技能1号は、最長で5年間の滞在が可能です。

出入国在留管理庁によると、介護の特定技能資格を持つ外国人は、2023年12月末時点で28,400人となっており、特定技能1号を持つ外国人の13.6%となっています。

創設の背景

介護分野には、特定技能「介護」以外にも資格がいくつかありますが、人材不足が解消されず、特定技能制度に介護分野が追加されました。従来の「EPA」や在留資格「介護」と比べると、国家資格の取得・保持を要件とせず、転職も可能なため、受け入れやすい制度となっています。

受け入れ人数

介護分野の受け入れ見込み人数は令和元年から5年度までで、最大60,000人を上限としていました。人手不足が深刻な14の特定産業分野の中で最も多い見込みとなっていましたが、新型コロナウイルスの経済情勢の変化を踏まえ、上限は5万9,000人に引き下げられています。

また、介護分野は事業所単位で日本人等の常勤介護職員の総数を受け入れ上限としているため、受け入れの際には、事業所の人員についても確認が必要です。

特定技能「介護」の資格要件

介護分野の特定技能資格の取得要件について解説します。採用を検討する企業は、候補者が要件を満たしているかを事前に確認しておくことが大切です。特定技能「介護」は、介護現場の従業員を雇用する制度です。そのため、介護における専門的な技能やコミュニケーションが問われます。

介護分野特定技能1号評価試験・日本語能力試験(N4以上)に合格

介護分野特定技能1号評価試験・日本語能力試験共に、実技試験はなく、筆記試験にて実施されます。介護分野特定技能1号評価試験は、介護分野において一定の専門性・技能を用いて即戦力として稼働するために必要な知識や経験を問う内容となっています。

試験時間60分 (問題数45問)にて、以下設問となっています。

・介護の基本(10 問)

・こころとからだのしくみ(6問)

・コミュニケーション技術(4問)

・生活支援技術(20 問)

上記に加え、生活支援技術(5問)を問う写真判断問題も出題されます。水準として、介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を自ら一定程度実践できるレベルとなっています。

引用:厚生労働省 「介護技能評価試験」試験実施要領

技能実習2号からの移行

技能実習2号からの移行も可能です。技能実習2号を良好に修了していること、技能実習の内容が特定技能1号に関連していることが条件となります。

良好に修了していることとは、技能実習を2年10ヶ月以上修了し、①技能検定3級又はこれに相当する技能実習評価試験に合格している、②技能実習生に関する評価調書がある、のいずれかに該当していることを指します。

介護福祉士養成施設を修了

介護福祉士養成施設を修了している場合は、試験が免除され特定技能「介護」の在留資格を取得可能です。介護福祉士養成施設での学習と実習を通じて、介護の実務知識と技術を身に付け、日本での介護業務に直接従事するための基盤を築くことが求められています。

EPA介護福祉候補者として在留

EPA介護福祉候補者とは、日本と特定の国との間の経済連携協定(EPA)に基づき、介護福祉士を目指す外国人のことです。この制度は、候補者に日本での研修と実務経験を通じて介護の技能を学び、最終的に日本の介護福祉士国家試験への合格を目指すものとなっています。

EPA介護福祉候補者として4年間、就労や研修に従事していれば特定技能試験が免除されます。

その他の介護分野の資格

  • 特定活動EPA
  • 在留資格「介護」
  • 技能実習「介護」

介護分野では、特定技能以外にもいくつか外国人が国内で就労できる資格があります。各資格について解説します。

特定活動EPA

特定活動EPAは、経済連携協定(EPA)に基づき、特定の国々から介護福祉士候補者として来日する外国人に与えられる在留資格です。主にインドネシア、フィリピン、ベトナムからの候補者に対して適用され、日本で介護福祉士の資格を目指しながら働くことができます。

最長4年の在留期間が設定されています。在留期間中に国家試験に合格できれば、在留資格を「介護」に変更し、長期間日本での就労が可能となります​。

在留資格「介護」

在留資格「介護」は、介護福祉士の国家資格を持つ外国人が日本で介護業務に従事することを目的としています。介護福祉士養成施設を卒業し、介護福祉士の国家試験に合格した留学生が取得可能で、介護福祉士として認定された外国人は、日本で介護業務に従事することが可能となり、家族の帯同も認められています。

取得している外国人は、勤務できるサービスに制限がなく、夜勤や訪問介護など、多岐にわたる業務に従事することが許可されており、介護施設や事業所にとって即戦力とれるでしょう。

技能実習「介護」

技能実習「介護」は、外国人が日本で介護の技能を学ぶための在留資格です。学歴や資格要件はありませんが、技能実習の目的と制度の趣旨を理解していることや技能実習後、自国で関連業務に従事することが見込まれることが求められます。

合計で5年間の滞在が可能でかつ、国内でも技能実習制度の人数がふえてきているため、最も採用しやすい資格といえるでしょう。

特定技能「介護」のメリット

国内で介護の仕事に就労する資格はいくつかありますが、その中でも特定技能「介護」資格のメリットは以下です。

  • 夜勤や訪問介護を除く多様な介護業務に従事できる
  • 技能実習制度と比べて報告や管理の負担が少ない
  • 即戦力となる人材を雇用できる
  • 初年度から常勤介護職員の同じ人数を雇用できる
  • 新規事業所でも雇用できる

人材の質、採用工数などの観点から特定技能「介護」は様々なメリットがあります。ただし、訪問介護など特定の業務には制限があるため、事業所のニーズに応じた適切な人材を採用する必要があります。

特定技能「介護」で任せられる業務

特定技能「介護」で外国人労働者が任せられる業務は「身体介護」と「付随する支援業務」に区別されます。例えば、入浴介助、食事介助、排泄介助などが該当します。

支援業務は、レクリエーションの実施や機能訓練の補助など介護の質を向上させるためのサポート業務が含まれています。また、日本人が従事する関連業務も対象となっており、安全衛生教育や物品の補充などが該当します。

このように特定技能「介護」では、訪問介護サービスを除く、施設内での多岐にわたる介護業務が許可されており、活躍が期待されています。

特定技能「介護」を受け入れる条件

 

企業が特定技能「介護」資格を持つ外国人を受け入れる条件を以下にまとめます。

項目 内容
事業所の種類 介護老人福祉施設、介護老人保健施設、グループホーム、デイサービス

※訪問介護サービスはNG

報酬 日本人の同等以上

※福利厚生も同様

雇用形態 直接雇用のみ
業務内容 身体介護と支援業務を主業務とする
受け入れ人数 事業所の日本人の常勤職員数を上限とする

これら要件を満たさなければ、特定技能外国人を受け入れることができません。雇用前に準備をしたうえで、採用活動を進めるようにしましょう。

在留資格「介護」への移行方法

長期的に外国人人材に働いてもらう場合には、更新期限のない在留資格「介護」への移行も手段として考えられます。

在留資格「介護」には、国家資格である介護福祉士が必要ですが、特定技能「介護」の在留期間中に取得できれば、在留資格「介護」への移行を実現できます。介護福祉士に必要な事務経験が3年であるため、特定技能移行後、すぐに取得に向けて準備をすることがポイントです。

需要の高まる介護分野で外国人人材の受け入れを!

外国人の国内就労に関する制度は、資格の整備に伴い、着々と進んできています。介護分野においても複数の在留資格がありますが、特定技能「介護」はその中でも採用コストを抑えつつ、優秀な人材を受け入れられる可能性の高い制度といえるでしょう。受け入れを検討する企業は、スムーズに採用活動が進められるように体制を整備しておくことが重要です。

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