外国人技能実習生の受け入れにかかる費用を項目別に解説(開始前から実習開始後まで)

在留資格

2022/10/28

技能実習は、国際協力や国際貢献を目的として、外国人が母国では習得の難しい知識や技能、技術を日本で習得し、帰国後母国の産業発展に活かすために設けられた在留資格です。技能実習生の国籍別内訳を見ると、ベトナム、中国、フィリピン […]

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技能実習は、国際協力や国際貢献を目的として、外国人が母国では習得の難しい知識や技能、技術を日本で習得し、帰国後母国の産業発展に活かすために設けられた在留資格です。技能実習生の国籍別内訳を見ると、ベトナム、中国、フィリピン、インドネシアとアジア諸国が多数を占めています。

当記事では、就労可能な在留資格の中でも人数が多く、身近な存在である技能実習に焦点を当てて、その受け入れにかかる費用についての解説を行っています。技能実習生の受け入れを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

外国人技能実習生の受け入れにはどんな費用が必要?

2021年において、日本に在留する外国人は約282万人、その中で就業者は約172万人となっています。外国人就業者における在留資格の内訳は、永住者や日本人の配偶者といった身分に基づく在留資格の約58万人を筆頭として、専門的・技術的分野の在留資格の約39万人、技能実習の約35万人と続いています。

技能実習生は、受け入れ先における技能実習を通じて、知識や技能を習得します。技能実習生を受け入れるためには、在留資格認定証明書の交付申請や査証申請等の手続きが必要となるのは当然ですが、受け入れにかかる費用といったコスト面も考慮しなければなりません。

では技能実習生を受け入れるためには、どのような費用がかかるのでしょうか。一般的に技能実習生の受け入れには、「監理団体への入会費用」や「入国準備費用」といった実習開始までの費用の他に、「入国後の費用」や「受け入れ後の継続費用」、「実習開始後の費用」等の多岐に渡る費用が必要となってきます。そのため事前に相場を調べ、どの程度費用がかかるのか把握しておくことが必要です。

参考:出入国在留管理庁「令和3年6月末現在における在留外国人数について」
参考:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況まとめ【概要版】」
参考:厚生労働省「外国人技能実習制度の現状、課題等について」

技能実習開始までにかかる費用

技能実習を開始するまでには、監理団体を利用する場合の団体への入会費用や、現地への事前訪問費用、在留資格申請や健康診断等の入国準備費用が必要です。本項では技能実習を開始するまでにかかる費用について、項目ごとに解説を行っていきます。

監理団体の入会費用

監理団体は、国際協力や国際貢献を目的として、技能実習生の受け入れをサポートする非営利の団体です。海外に支社や支店を設けている企業であれば、企業単独で受け入れを行うことも可能ですが、ほとんどの場合は、監理団体に入会して、技能実習生の受け入れを行うことになります。

監理団体入会費用及び年会費は、概ね次のようなものとなります。

入会金 1万円~10万円
年会費 2万円~15万円

監理団体の規模や対応地域によって、費用に大きく開きがあるため、事前によく調べておく必要があります。また、団体によってはJITCO(公益財団法人国際人材協力機構)への加入を義務付けている場合があり、JITCOの入会には加入形態に応じた年会費として10万円~30万円程度の費用が必要です。

事前訪問の費用

技能実習生本人と実際に会って人選を行う場合には、事前訪問の費用も必要です。現地への事前訪問は、訪問先となる国や訪問する人数によって大幅に異なりますが、技能実習生に占める割合が最も多いベトナムを例として挙げると、次のようになります。

渡航費用(往復) 12万円~15万円
宿泊費用(食費含む) 2万円~3万円

上記の額は、格安航空を使用せず2泊3日で、1人が標準的なホテルに滞在した場合を想定しています。そのため格安航空の利用やホテルのグレードの変更等によって変動する場合がありますので、注意してください。

入国準備の費用

技能実習生の人選が終わると、入国への準備を行うことになります。在留資格の認定申請費用や日本への渡航費用はもちろんですが、入国後講習の短縮を目的とした入国前講習や健康診断、保険への加入等も予定されており、技能実習生の入国準備にかかる主な費用は、次の通りです。

在留資格認定証明書交付申請 2万円~5万円
外国人技能実習生総合保険料 2万円~6万円
健康診断費用 約1万円
入国前講習費用 1万5千円~3万円
渡航費用 5万円~10万円

保険料は、保険会社やプランによっても異なり、渡航費用も国によって大幅に異なってくるため、あくまで目安として考えてください。

実習開始後にかかる費用

技能実習生を受け入れ、実習を開始するまでと同様に、実習開始後においても講習費用や手当、継続費用としての社会保険料等の様々な費用がかかります。本項では、技能実習を開始した後にかかる費用について、その項目ごとに解説を行っていきます。

入国後の費用

技能実習生は、入国後講習を受ける必要がありますが、入国後すぐに実習を開始するわけではなく、講習も即日で始まるものではありません。そのため、講習開始までの技能実習生の生活費等も受け入れ先が負担することになります。また、日本へ馴染むためのレクリエーション等を行う場合もあり、その費用も必要となってきます。

実習開始までにかかる費用

技能実習生が実習を開始するには、日本語研修や日本での生活一般に関する知識等の科目について、座学による入国後講習が義務付けられています。また、講習の期間中は、技能実習生の生活費として講習手当を支給することも必要です。

講習費用や手当の他に、雇い入れ後の健康診断も必要となり、実習開始までにかかる主な費用は次の通りです。

入国後講習費用 約10万円
講習手当 約6万円
健康診断費用 約1万円

受け入れ後の継続費用

技能実習生を受け入れた後は、給与の支払い義務があることはもちろんとして、日本人労働者と同様に社会保険や労働保険の保険料の支払いが継続して必要となります。また、監理団体へ加入している場合には、監理団体が技能実習生の管理を行うため、監理団体への管理費用の支払いや、帰国旅費の積み立てのための帰国渡航旅費積立金等の費用も継続して必要となります。

技能実習生は、知識や技能の習得のために日本に在留しており、習得した知識技能の認定のため、技能検定を受ける必要があります。加えて、在留資格の更新にも費用がかかります。給与や保険料等のほかに必要となる受け入れ先の継続費用負担は次の通りです。

管理費用(送り出し機関への支払い含む) 3万円~5万円(1人当たり/月)
帰国渡航旅費積立金 約2万円(年額)
技能検定料 約2万円
在留資格更新料 3万円~5万円

監理団体は、技能実習生になろうとする者の求職を監理団体に対して、適正に取り次ぐ役目を持った各国の認定送り出し機関と契約を結び、人材の確保を行っています。そのため受け入れ先は、監理団体への費用のほか、送り出し機関への支払い費用の負担も必要です。

外国人技能実習生と雇用主

結局、受け入れにはいくら費用がかかる?

監理団体や技能実習生がどこの国籍であるかといった条件によって、かなり開きがあるため、あくまで目安としての数字となりますが、技能実習生の受け入れには、約55万円~約99万円程度の費用が必要となります。JITCOへの入会を行う場合には、この額に加えて10万円~30万円程度費用がかかることになるため、注意が必要です。

また、企業ごとに外部委託して講習やレクリエーションを行う場合もあり、訪日や講習開始までの日程や時期によっては、より多くの費用が必要となることもあるため、受け入れ予算には余裕を持っておいた方がよいでしょう。もちろん社会保険料や労働保険料にかかる費用も忘れてはいけません。

おわりに

技能実習は、就労可能な在留資格の中でも約5分の1と大きな比率を占めており、職場において技能実習生と関わることも多くなっています。また、これまで技能実習生は、実習が修了すれば帰国することになっていましたが、新しく創設された在留資格である特定技能に移行することで、より長く日本に在留することも可能となりました。

当記事では、そんな身近な存在である技能実習生の受け入れにかかる費用について、項目ごとに解説を行ってきました。受け入れ費用は、理由もなくかかっているわけではなく、技能実習生が日本においてしっかりと知識や技能を身に付けるためには必要不可欠な費用となっています。

受け入れ先は、技能実習が国際協力や国際貢献のために設けられた在留資格であることを忘れず、しっかりと知識や技能習得のためのサポートができるように、当記事を参考として十分な受け入れ予算を組んでください。

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