ホテル業界での人手不足の実態とは?深刻化する原因や具体的な対策を解説!

業種別ノウハウ

2025/02/14

観光立国を目指す日本において、ホテル業界の人手不足は深刻な社会問題となっています。帝国データバンクの調査によると、ホテル業界における正社員の人手不足割合は72.6%にも達し、全産業の中でも特に深刻な状況が続いています。 […]

目次

観光立国を目指す日本において、ホテル業界の人手不足は深刻な社会問題となっています。帝国データバンクの調査によると、ホテル業界における正社員の人手不足割合は72.6%にも達し、全産業の中でも特に深刻な状況が続いています。

インバウンド需要の回復や国内旅行の活性化により、ホテル業界の需要は増加の一途を辿っていますが、慢性的な人材不足により、十分なサービス提供ができない施設も増えています。

本記事では、ホテル業界が直面している人手不足の現状と原因を分析し、具体的な解決策や今後の展望について詳しく解説していきます。

Naosuke Sugihara
トクティー株式会社|代表取締役社長
1985年東京生まれ・東京育ち。2008年に慶應義塾大学を卒業後、一橋大学公共経済コースの大学院へ進学し、人口減少による日本社会の課題解決を志す。 その後、大学院在学中にイギリスに留学。2010年の修了後は外資系証券会社に入社し、営業職として20代で国内外の債券・株式営業でトップセールスを獲得するなど成果を上げる。 2018年に現在の会社を創業し、特定技能人材の採用プラットフォーム「tokuty」を展開している。

ホテル業界の人手不足の現状と深刻な影響

2024年現在、ホテル業界は過去に例を見ない人材不足の危機に直面しています。この状況は単なる一時的な現象ではなく、構造的な問題として業界全体に大きな影響を及ぼしています。

ホテル業界の人手不足の現状とは?

引用:厚生労働省「産業、就業形態別入職者・離職者状況(令和6年上半期)」

観光庁の統計によると、宿泊業における有効求人倍率は6.15倍(求人数6件に対して求職者が1人という状態)と、全産業平均の1.38倍を大きく上回っています。この数字は、求人募集に対して応募者が極めて少ない状況を示しています。

特に深刻なのは、フロントスタッフや客室清掃員といった現場スタッフの不足です。これらの職種では、早朝や深夜のシフトが必要となることも多く、若い世代からの就職希望者が減少傾向にあります。

さらに、コロナ禍での一時的な業務縮小により、多くの従業員が他業界へ流出したことも、現在の人手不足に拍車をかけています。

厚生労働省の調査では、宿泊業/飲食サービス業の離職者数は643万人を超えるという結果も出ており、調査対象となっている主要業界の中では卸売業/小売業(822万人)、医療/福祉(709万人)、に次ぐ、人材の定着率の低さも大きな課題となっています。

人手不足がホテル経営に与える具体的な影響

引用元:サービス・ツーリズム産業労働組合連合会

深刻な人手不足は、ホテル経営に多大な影響を及ぼしています。客室の稼働率を意図的に抑える必要が出てきているホテルも少なくありません。

サービス・ツーリズム産業労働組合連合会の調査では、旅行・宿泊業の加盟組合のうち85%の事業者が、営業時間の短縮や来店予約の制限など人材不足を理由に何らかの営業制限・制約を強いられていることがわかった。

また、既存スタッフの業務負担が増加することで、サービス品質の低下やスタッフの健康問題にも影響が出始めています。特に、インバウンド需要の回復期において、多言語対応できるスタッフの不足は、国際競争力の低下にも直結する重要な課題となっています。

ホテル業界の人手不足の根本的な原因を徹底解説

ホテル業界が抱える人手不足の問題は、単なる求人難や給与の問題にとどまらず、さまざまな要因が絡み合っています。

労働時間と休暇取得の問題

ホテル業界で最も深刻な人手不足の要因は、労働環境の問題です。

24時間365日稼働を前提とした業態であるため、シフト制での勤務が基本となり、休暇が取りづらい環境となっています。特に年末年始やゴールデンウィークなどの大型連休は、むしろ繁忙期となるため出勤が必須です。

令和6年の厚生労働省の就労条件総合調査によると、宿泊業/飲食サービス業の有給休暇取得率は51.0%と全産業平均の62.1%を大きく下回っており全業界で最も低い数値となっています。

また、早朝や深夜のシフトも多く、不規則な生活を強いられることで、ワークライフバランスの確保が難しい状況となっています。このような労働環境が、若い世代の就職希望者離れや、早期離職の大きな要因となっているのです。

引用:厚生労働省「労働者1人平均年次有給休暇の取得状況」

賃金水準の低さが引き起こす採用難

2つ目の根本的な要因は、給与水準の低さです。

令和5年度の厚生労働省の調査によるとの宿泊業の平均給与は25.9万円と全産業平均と比較して約2割低い水準にとどまっています。これは、宿泊料金の価格競争が激しく、人件費を抑制せざるを得ない業界構造が背景にあります。特に地方のホテルでは、観光需要の季節変動が大きく、年間を通じて安定した収益を確保することが難しいため、給与水準を上げることができません。

また、サービス業特有の感情労働(常に笑顔で接客する必要がある等)の負担の大きさに比べて、金銭的な報酬が見合っていないと感じる従業員も多く、これが離職の要因となっているケースも少なくありません。

引用:厚生労働省「令和5年産業、年齢階級別賃金及び対前年増減率」

コロナ禍による人材流出の影響

3つ目の要因として、新型コロナウイルスの感染拡大による人材流出の影響が挙げられます。

2020年以降、観光需要が急減したことで、多くのホテルが営業休止や人員削減を余儀なくされました。この際に離職を選択した人材の多くが、より安定した他業界へと転職していきました。

2023年に入り観光需要は回復基調にありますが、一度流出した人材の呼び戻しは難しく、新規採用も思うように進まない状況が続いています。特に、外国人観光客の急増に伴う語学対応可能なスタッフの確保が課題となっており、インバウンド需要の取りこぼしにつながっているケースも報告されています。

ホテル業界の人手不足への具体的な対策

人手不足を解消するためには、労働環境の改善が不可欠です。ここでは、具体的な対策について解説します。

働きやすい環境づくりによる離職防止

労働環境の改善は人手不足解消の第一歩です。

具体的には、シフトの固定化による生活リズムの安定化や、年間休日数の見直しが効果的です。厚生労働省の統計によると、宿泊業の年間休日数は97.1日と全業種で最も少なく、この改善が急務となっています。

また、給与面では前述の通り業界平均が25.9万円と業界平均が最も高い電気・ガス・熱供給・水道業の41.0万円を大きく下回っているため、基本給の見直しやインセンティブ制度の導入など、待遇改善も重要です。これらの取り組みにより、従業員の定着率向上と新規採用の促進が期待できます。

引用:厚生労働省「令和5年産業、年齢階級別賃金及び対前年増減率」

柔軟な雇用形態の導入による人材確保

繁閑の差が大きいホテル業界では、多様な雇用形態を組み合わせることが効果的です。

正社員だけでなく、パートタイムやアルバイト、副業・兼業人材の活用、さらにはスポット的な人材派遣の利用など、状況に応じて柔軟に対応することが重要です。

特に近年は、タイミーなどのスキマバイトアプリなどを活用し、必要な時に必要な人材を確保する手法が注目されています。これにより、人件費の最適化と必要な人員の確保を両立させることができます。

外国人材の採用と職場環境の整備

外国人材が活躍できる職場環境の整備も労働力不足の解消に重要な役割を担います。

まず、日本語でのコミュニケーションをサポートする体制を整えましょう。例えば、業務マニュアルの多言語化や、日本語研修の実施が効果的です。また、生活面のサポートも重要です。

住居の手配や行政手続きの支援など、日本での生活を安心して送れるような体制を整えることで、長期的な定着を促すことができます。さらに、日本人スタッフとの交流機会を設けることで、職場への早期適応を促進できます。

関連記事:外国人の雇用って難しい?雇用時の注意点・ポイントを解説!

宿泊業での外国人材採用なら特定技能がおすすめ

先述の通り宿泊業界では深刻な人手不足が続いており、外国人材の採用は重要な解決策の1つとなっています。特に特定技能制度を活用することで、即戦力となる人材を採用できる可能性が広がります。

特定技能=即戦力として活躍できる技能と日本語力を持った外国人材

関連記事:宿泊分野の特定技能とは?働く場所や求められる要件を解説!

特定技能の外国人材は、宿泊業技能測定試験と日本語能力試験N4以上に合格していることが条件となります。

そのため、フロント業務や接客、レストランサービスなどの基本的な業務知識と、日常会話レベルの日本語コミュニケーション能力を有しています。また、技能実習2号を良好に修了した人材であれば、すでに実務経験も積んでいるため、より即戦力として期待できます。このような要件を満たした人材を採用できることは、教育コストの削減にもつながります。

また、外国人材の採用に利用可能な補助金の充実しており、上手く利用できれば採用コストも抑制可能です。

関連記事:【2024年度最新!】外国人雇用で利用できる助成金・支援制度!|申請要件や注意点も紹介!

幅広い業務に柔軟に対応できる人材としての活用

特定技能外国人材は、フロント業務や接客業務といった主業務に加えて、ベッドメイキングや配膳、館内販売といった付随業務にも従事することができます。

これは技術・人文知識・国際業務の在留資格では認められていない業務範囲であり、特定技能ならではの強みです。ただし、付随業務に従事する時間が主業務を上回らないよう注意が必要です。このような柔軟な業務対応が可能な人材を確保できることで、繁忙期の人員配置にも余裕を持って対応できます。

インバウンドでの外国人対応にも強い人材の確保

特定技能外国人材は、自国の言語や文化についての知識を活かし、増加する外国人観光客への対応力強化に貢献できます。

特に英語圏や中国語圏からの観光客が多い地域では、言語面でのコミュニケーションがスムーズになるだけでなく、文化的な理解に基づいたきめ細かなサービス提供も期待できます。また、多様な国籍の従業員が働くことで、職場の国際化や異文化理解の促進にもつながります。

まとめ

ホテル業界では、慢性的な人手不足が深刻化しており、特にフロント、清掃、調理部門などの現場業務において大きな課題となっています。その原因としては、長時間労働や低賃金といった業界特有の労働環境、少子高齢化による労働人口の減少、新型コロナウイルスの影響による離職者の増加などが挙げられます。

これらの対策を進めると同時に、業界全体で労働環境の見直しを行い、働き手にとって魅力的な職場を提供することが、人手不足解消の鍵となるでしょう。ホテル業界が持続的に成長し、利用者にも質の高いサービスを提供するためには、企業の柔軟な対応と革新的な施策が求められています。


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