外国人技能実習制度にまつわる問題とは?原因と対策を紹介!

「技能実習生を雇用したいけど、度々ニュースで技能実習生の問題が流れるので不安」「外国人労働者と上手くコミュニケーションが取れず、社内の雰囲気が悪いので改善したい」など技能実習の問題は大きな事件から日常的な些細な問題まで様々です。技能実習生が増える一方で、国内では様々な問題が発生しており、深刻な事態を招いているケースも。この記事では、技能実習生にまつわる問題と原因、対策法を紹介します。

外国人技能実習生制度とは

技能実習の本来の目的は、国際貢献です。外国人実習生が日本で得た知識や技術を母国で活用するために創設されました。ここでは、技能実習の要件と受入れ経路を紹介します。

外国人技能実習制度の要件

技能実習の要件は、下記の通りです。

  • 対象職種は、90種類165作業(令和5.10.31時点)
  • 最長滞在年数5年
  • 技能実習生の母国及び同一作業の反復のみによる習得等が困難な技能を習得する
  • 18歳以上で帰国後に本国への技能等の移転に努める
  • 技能実習生に対する適切な体制・待遇の確保(給与や業務時間、日本語等の入国後講習など)
  • 各業務に定められた時間割合の厳守
  • 各法令等に違反していない

特定技能外国人制度とは

技能実習と混同されやすい特定技能ですが、特定技能は外国人の労働を目的として創設されました。一定水準の技能と日本語能力を有した外国人の採用を促す特定技能は12分野に分かれ、特定技能2号の在留資格取得者には滞在年数の上限がありません。要件を満たせば、技能実習生からの移行も可能です。

外国人技能実習生の受入れ経路

現在、9割の受入れ企業が外国人実習生の受入れ時に監理団体及び送り出し機関を介在しています。受入れ企業と外国人技能実習生の就業までの経路は、下記の通りです。

受入れ企業 監理団体に連絡する→送り出し機関に赴き外国人と面接を行う
技能実習生 送り出し機関に登録→連絡が入ったら面接を行う→合格後、日本語などを学習して来日

 

技能実習生の問題と事例

技能実習生の問題とはどのような問題があるのでしょうか?現在、深刻化している問題を下記にまとめました。

コミュニケーションに関する問題と事例

技能実習生が、社内でコミュニケーションが上手く取れずに発生する問題は多岐にわたります。代表的な問題は、下記の通りです。

 

  • 労働災害の多発(労働災害による死傷者数が、外国人労働者が日本人労働者の死傷者数を上回っている)
  • ハラスメント問題
  • 技能実習生に対する暴力(直接的な暴力の他、労災隠しのため病院を受診させない、パスポートを取り上げるなど間接的な暴力もある)
事例
2022年、岡山県の企業でベトナム人技能実習生の男性が、日本人3名の同僚から2年間にわたり暴行を受けた。男性は、暴行が始まった原因は日本語が下手だったからだと告げている。男性が勤務中に大けがを負っても、勤務時間外に負傷したと診断を改ざんされ、病院を受診させてもらえない日もあった。

犯罪への関与に関する問題と事例

技能実習生が犯罪に巻き込まれるケースが多発し、法務省や警察庁なども注意喚起を行っています。令和4年度には、ベトナム人の摘発件数は3,579件に上り、中には技能実習生が意図せず犯罪に加担させられていたケースもあるので注意が必要です。

事例
2023年、男性がフェイスブック上で携帯電話の紛失保証サービスを悪用して323万円相当の携帯電話を盗んだ。犯行グループは、ベトナムから来日した技能実習生ら15名だった。

 

失踪に関する問題と事例

令和4年度の技能実習生の失踪者数は、9,006人です。失踪した技能実習生が犯罪に巻き込まれている場合もあるので、警察や監理団体、外国人技能実習機構に届け出る必要があります。

事例
2019年、とび職の技能実習生として来日した男性は、日常的に同僚からいじめや嫌がらせを受けていたが、転職できず約2年間耐えていた。しかし、給料が18万円から12万円に減らされ、生活不可と判断し失踪した。

外国人技能実習生の問題の原因

技能実習生の問題で考えられる主な原因を紹介します。

受入れ企業による労働基準関係法令違反

違反が疑われる受入れ機関に対し監督指導を実施した結果、72.6%もの受入れ機関が労働基準関係法令違反をしていました。監理団体への費用がかさむため、技能実習生の給与を減らすのは禁止事項です。しかし、技能実習生に対する低賃金や残業代、深夜・休日勤務に対する割増賃金の未払いなどが発生し、長時間労働を課せられるケースが多くみられます。受入れ企業の不正行為が、技能実習生の犯罪加担や失踪に繋がっているのです。

コミュニケーション不足

社内でのコミュニケーション不足は、問題を発生させる大きな原因の一つです。国が違えば、考え方や文化も違います。コミュニケーションが不足すると、日本のルールやマナーを理解するのに時間がかかり、職場だけでなく寮周辺住民とのトラブルに発展する可能性も。コミュニケーション不足の原因の一つが、技能実習生の日本語能力の低さです。技能実習生は日本語を完全に理解していない場合が多いため、作業方法や安全面などの指示を理解しておらず労働災害の多発に繋がっていると考えられています。

外国人労働者に対する暴力や人権侵害、ハラスメント

外国人労働者が、ハラスメント対象になるケースが多く報告されています。言語や文化の違いが理解されず、給与の未払いや長時間労働に加え、暴力や人権侵害を受けた技能実習生が境遇に耐えられずに失踪しているのが現状です。外国人労働者に対する暴力や人権侵害に基づく違法な雇用形態などは、最も深刻な問題といえるでしょう。

SNSの普及と転職制限

SNSの普及で外国人実習生同士の連絡が容易になり、給与や待遇などの情報が筒抜けの状態です。闇バイトの募集も主にSNSを通して行われています。技能実習生の闇バイトへの関与は、来日のために背負った借金や母国への仕送りなど技能実習生が抱えている問題が影響しており、技能実習生の状況把握が必要です。

また、不遇な環境であっても転職できない技能実習生は現状からの脱却が難しく、失踪に繋がっています。

情報不足による想定と実質のギャップ

技能実習生が来日するルートは、雇用条件のミスマッチを生んでいると考えられています。技能実習生は送り出し機関から紹介された受入れ企業に従事するため、自分で企業を選べず雇用条件などの選択もできません。外国人実習生の多くは、来日前は日本での就業が金銭面で大きなメリットになると感じています。しかし、実際は想定してたほど収入を得られず、日本での就労や生活にギャップを感じる技能実習生も多いのです。

監理団体の問題

技能実習生と受入れ企業を繋ぎ双方のサポートをする監理団体が、その役割を果たしていない場合もあります。適切な訪問指導や監査を行わない、虚偽の報告書を提出したなど、監理団体の問題が現場の問題に直結するケースも多いといえるでしょう。

送り出し機関の問題

技能実習生の多くは、送り出し機関への支払のために借金をしています。本来、送り出し機関の外国人実習生に対する保証金請求は違法です。しかし、保証金を徴収している場合も多く、手数料やブローカーへの謝礼など合わせて150万円以上を送り出し機関へ支払った技能実習生もいます。借金返済や生活費、家族への仕送りを賄うため、犯罪に加担する技能実習生も後を絶ちません。

技能実習生にまつわる問題の対策方法

技能実習生を雇用するうえで、問題の防止や即座に解決できる環境を整えておく必要があります。出入国在留管理庁や警察庁からも問題対策法が提示されているので、確認して実行していきましょう。

就業に関する問題への対策

給与や労働時間に関する問題の多くは、法令を遵守することで解決が可能です。技能実習生への待遇は、日本人労働者と同等以上と定められています。技能実習の要件を再確認し、下記の対策を参考に実施してみましょう。

  • 労働環境を整備する
  • 多国籍の技能実習生を受け入れる(社内の公用語が日本語になるので日本語能力が上がりやすい)

コミュニケーションに関する問題への対策

コミュニケーション不足を解消できれば、多くの技能実習の問題を解決に導けます。下記の対策を参考に、社内の風通しをよくしましょう。

  • 社内で日本語講習などを実施する
  • 定期的な相談の場を設ける
  • 社内への理解を深める(現場の状況などを外国人と共有する、言葉や文化の壁があることを社内で周知するなど)
  • こうかんノートを実施する

生活に関する問題への対策

国によって、生活環境や社会的ルールは様々です。下記の対策を参考に、技能実習生の生活環境を整えましょう。

  • 事前に日本のルールや不法行為を確認する(自転車の二人乗りなど、他国では問題ないが日本では違法になる場合がある)
  • 教育制度の完備(言語を問わない動画マニュアルを推奨)
  • 相談窓口の連絡先等を提示
  • 互いのSNSアカウントをフォローする(犯罪に巻き込まれるリスクを軽減し、気軽に連絡を取りやすくすることで円満に行く場合がある)

優良な監理団体を選ぶ

監理団体の選択も重要です。下記を参考に、支援内容を確実に実施している監理団体を選びましょう。

  • 所在地が近い
  • 就業を希望する業種を取り扱っている
  • 許可取消し処分や改善命令などを受けていない

技能実習制度の見直し

ここでは、平成28年に成立した技能実習制度の見直しを紹介します。

【外国人技能実習機構を設立】

  • 監理団体や受け入れ企業に対する報告徴収や実地検査等を行う
  • 母国語による通報や相談窓口(電話やメール対応)、人権侵害行為等に対する罰則等を整備
  • 実習先変更支援の充実(技能実習第2号から3号へ移行する技能実習生は、受入れ機関を自ら選択できる)
  • 一時宿泊先の提供(外国人労働者が不適切な行為を受け宿泊先がない場合)

【二国間取り決めを作成】

送り出し国と取り決めを作成し、悪質な送出機関を排除する

【一定の基準を満たしている優良な監理団体に対する拡充策】

  • 実習期間を3年間から5年間に延長
  • 技能実習生の受け入れ人数枠を常務従業員数に応じた最大5%までから最大10%までに拡大
  • 対象職種の拡大

技能実習制度廃止による新制度創設について

技能実習が労働力の確保を目的とされるようになり、政府は2024年以降に技能実習の廃止及び人材確保と人材育成を目的とした新制度「育成就労制度」の創設を検討しています。育成就労制度では、失踪防止策として下記要件を満たした技能実習生の転職が可能となる方針です。

  • 就労開始から1年以上経過
  • 初歩的な日本語能力を有する

まとめ

本来、技能実習は安い労働力ではなく、日本人を採用するよりも時間とコストがかかる制度です。技能実習生の問題が企業イメージを悪くする場合も十分に考えられるので、受入れ企業は技能実習生が抱えている事情を把握し、円滑なコミュニケーションを図っていく必要があります。

 

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