【自動車整備分野】特定技能外国人の人材要件・雇用する際のポイントを解説!
2019年4月に特定技能制度が創設され、自動車整備分野においても特定技能外国人の受け入れが開始されました。専門性の高い外国人を雇用し、自社の成長を促進したい企業の中には、採用したいけれど、まず何から始めればよいのか分からない方も多いのではないでしょうか?
この記事では、特定技能「自動車整備」の人材要件や雇用する企業に求められる条件を解説。支援体制を充実させスムーズに受け入れを行うヒントを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
特定技能「自動車整備」について
自動車整備分野における特定技能外国人の受け入れは、国土交通省が管轄しています。深刻化する人手不足に対応するため、即戦力として期待できる外国人を受け入れることで、自動車整備分野の存続および成長を図ることが目的です。
自動車整備分野においても、特定技能1号と特定技能2号の2つが用意されており、今後の国内の発展に必要不可欠な人材の確保が期待されています。
特定技能「自動車整備」が創設された背景
自動車整備分野の労働力の需要は、近年の自動車保有台数がほぼ横ばいとなっているため、一定水準の需要があることが示唆されています。労働力の供給という観点では、自動車整備士を目指す若者の減少や、高齢者の引退が増えつつあります。
令和4年度の有効求人倍率は、4.72倍となっており、令和5年度には、28,000人程度の人手不足が生じることが予想されています。自動車整備分野における受け入れ見込み人数は、令和6年度から5年間で最大1万人を上限としています。
参考:国土交通省 自動車整備分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針
特定技能「自動車整備」の人材要件
特定技能には、1号および2号の2種類あります。特定技能2号は、2023年に対象が拡大されました。特定技能1号を取得するには、技能水準および語学能力水準の両方を満たさなければなりません。ここでは、特定技能「自動車整備」の人材要件について解説します。
自動車整備分野特定技能評価試験
自動車整備分野特定技能評価試験は、自動車整備分野の特定技能1号の在留資格を取得するための重要な試験です。この試験は、自動車整備の分野で一定の専門性と技能を持ち、即戦力となる外国人を受け入れるために設けられています。
この試験の受験資格は、下記条件の両方を満たすものが受験できます。
- 日本国内で試験を受験する者にあっては、在留資格を有する者
- 試験日において、17歳以上の者
試験内容
試験は、学科試験と実技試験の2つに区分されます。まず、学科試験の内容について紹介します。
▼学科試験科目
- 構造、機能および取扱法に関する知識
- 点検、修理および調整に関する知識
- 整備用の試験機や工具に関する知識
- 材料および燃料油脂の性質と用法に関する知識
実施形式 | CBT方式 |
出題形式 | 〇×式 |
問題数(試験時間) | 30問(60分) |
合格基準 | 65%以上 |
続いて、実技試験の内容について紹介します。
▼実技試験科目
- 基本工作
- 分解・組立、点検および調整
- 簡単な修理
- 整備用の試験機および工具の取扱い
実施形式 | 判別・判断形式 |
問題数(試験時間) | 9課題のうち3課題(20分) |
合格基準 | 60%以上 |
試験情報
直近の試験情報は公式サイトをご確認ください。
受験者はこれらの試験に合格することで、「特定技能1号」として日本で働くことができます。また技能実習2号から移行する場合には、学科試験および日本語能力試験は免除されます。
自動車整備士技能検定試験3級
自動車整備士技能検定試験3級は、日本で自動車整備士として働くために必要な資格です。自動車整備分野特定技能評価試験の代わりにこの資格に合格することで、特定技能の在留資格を得られます。
この試験は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、自動車シャシ、二輪自動車の4つのカテゴリに分かれており、それぞれのカテゴリで合格することが求められます。試験情報は公式サイトをご確認ください。
技能実習2号からの移行
特定技能「自動車整備」の在留資格を取得するための条件の一つとして、技能実習2号からの移行が認められています。技能実習2号を2年10ヶ月以上修了している必要があり、その期間を良好にしていることが、移行の条件となります。
日本語試験
日本語能力試験は、国際交流基金日本語基礎テスト、またはN4以上の日本語能力試験に合格する必要があります。国際交流基金日本語基礎テストは、就労のために来日する外国人が日常生活で必要とされる基本的な日本語能力を評価するものです。テストはコンピュータベース(CBT)で行われ、試験内容は基本的なコミュニケーション能力を中心に構成されています。
日本語能力試験は、日本語を母語としない人々を対象とした日本語能力の評価試験です。N4レベルは、基本的な日本語を理解できることを示し、日常的な場面で簡単な会話や文章を理解できる能力が求められます。試験は年に二回実施され、筆記試験とリスニング試験があります。
特定技能「自動車整備」の受け入れ要件
特定技能「自動車整備」を受け入れる企業に求められる要件について解説します。国土交通省によると、受け入れ機関が満たすべき基準に以下を挙げています。
① 道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第78条第1項に基づく、地方運輸局長の認証(限定認証や二輪のみも含む。)を受けた事業場であること
② 国土交通省が設置する自動車整備分野に係る特定技能外国人の受入れに関する協議会の構成員になること
③ 上記②の協議会に対し、必要な協力を行うこと
④ 国土交通省が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと
⑤ 登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施の全部を委託する場合にあっては、以下の いずれにも該当する登録支援機関に委託すること
- 上記②~④いずれにも該当すること
- 自動車整備士1級若しくは2級の資格を有する者又は自動車整備士の養成施設において 5年以上の指導に係る実務の経験を有する者を置くこと
引用:国土交通省自動車局 自動車整備分野における外国人の受入れ(在留資格:特定技能)
特定技能「自動車整備」の対応可能な業務
特定技能「自動車整備」の対象となる業務は主に、自動車の「日常点検整備」、「定期点検整備」「分解整備」があります。日常点検整備および定期点検整備については、それぞれ道路車両法第47条の2、第48条に定められている点検項目が該当します。
参照:国土交通省 地方運輸局 V. 自動車の点検整備(日常点検・定期点検)の内容
その他、関連部品の販売や自動車の塗装などの関連業務も任せることが可能です。ただし、関連業務のみに従事させることは認められていません。就業先として、自動車整備工場に限らず、整備環境のあるガソリンスタンドなどの整備業務を行う事業所も可能です。
特定技能「自動車整備」を受け入れる企業が注意すべきこと
受け入れる企業が雇用手続きにおいて注意すべきことを紹介します。
- 地方運輸局長の認証を受ける必要がある
- 特定技能協議会へ加入する
- 直接雇用のみが認められる
スムーズな受け入れを行うためにも、要点を押さえておきましょう。
地方運輸局長の認証を受ける必要がある
特定技能「自動車整備」の外国人労働者を受け入れる企業は、地方運輸局長の認証を受ける必要があります。
整備工場には、認証工場と指定工場がありますが、自動車の「分解整備」を行うためには、地方運輸局長の認証を受けなければなりません。認証工場では、車検を含む各種整備作業ができます。認証工場の中で、設備や技術、管理組織が一定の基準に適合し、自動車検査員を選任している工場は、地方運輸局長から指定を受けられます。指定工場では、車両を運輸支局に持ち込まずに自動車検査を行うことができ、保安基準適合証を発行できます。
特定技能協議会へ加入する
特定技能「自動車整備」分野の外国人労働者を受け入れる企業は、自動車整備分野特定技能協議会への加入が義務付けられています。外国人労働者の受け入れに関して法令順守や情報共有、人材不足の対応などを協議し、支援をしてもらえます。
受け入れ機関は、特定技能外国人の入国後、4ヶ月以内に協議会へ加入し、協力していくことが求められています。
直接雇用のみが認められる
自動車整備分野の特定技能は、正社員としての直接雇用のみが認められており、派遣雇用はできません。正社員として雇用したのちに、その社員が転職することは制度上、認められています。
雇用契約・形態については、法令に遵守しつつ、雇用する外国人とコミュニケーションを図りながら同意を得ることが大切です。
支援体制を整備してスムーズな雇用手続きを!
特定技能外国人を雇用するにあたって、適切な支援を行っていくことが人材を中長期で育成していくことにつながります。支援計画書の作成や支援体制の構築をはじめとする外国人の受け入れ支援には、登録支援機関を活用しましょう。
登録支援機関が特定技能外国人に行う支援は以下のとおりです。
- 事前ガイダンスの実施
- 出入国送迎の支援
- 住宅確保のサポート、生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーションの実施
- 公的手続きなどへの同行
- 日本語学習機会の提供を支援
- 相談・苦情対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(受入れ側の都合で雇用契約を解除した場合)
- 定期的面談・行政機関への通報
採用予定の外国人および受け入れ企業の双方をサポートする支援が充実しています。詳細は出入国在留管理庁のHPをご確認ください。
自動車整備分野の特定技能を活用しましょう!
今後の自動車整備分野は、外国人労働者が増えていくことが予想されます。この記事を参考に、特定技能外国人をスムーズに受け入れることが大切です。それに加え、雇用した外国のパフォーマンスや成長を担保する社内体制を構築していくことが求められます。
採用担当者は、特定技能制度の理解や運用と同じく、国内企業の外国人の受け入れ動向や関連する法令についても最新情報の確認を怠らないことも重要です。
外国人の採用や雇用でお困りの方はプロに相談してみることをおすすめします。
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