在留資格「特定活動」を持つ外国人を雇用する際に確認すべき2個のこと

在留資格

2022/10/06

在留資格「特定活動」を持つ外国人を雇用する際に確認すべき2個のこと

2019年に統計開始後初めて出生数が90万人を下回り、今後も継続した人手不足が解消されない見通しがより顕著になりました。そして、日本の労働生産性は諸外国と比べても高いとは言えず、日本人の労働者のみで「国難」ともいえる人手 […]

目次

2019年に統計開始後初めて出生数が90万人を下回り、今後も継続した人手不足が解消されない見通しがより顕著になりました。そして、日本の労働生産性は諸外国と比べても高いとは言えず、日本人の労働者のみで「国難」ともいえる人手不足問題を解消することが難しくなっています。

また、国際的にも多様な働き方が普遍化しており、外国人の活動領域を広げること等を目的として法務大臣が指定する活動に限定される「特定活動」等の在留資格を設け、外国人労働者が活躍できる受け皿を増やす仕組みが導入されました。今回は在留資格の中でも近年注目されている仕組みである「特定活動」にフォーカスをあて解説します。

在留資格「特定活動」とは

「特定活動」は在留資格のひとつで、3種類に分類されます。通常、新たな在留資格を新設するにあたっては出入国管理及び難民認定法の改正が必要となるところ、「特定活動」については法務大臣が決定権を持っています。これが何を意味するかと言うと、「新型コロナウイルスによる感染拡大により影響を受けた帰国困難者」に対して一定期間必要となる活動を増やす場合に柔軟な対応ができるということです。

3種類の「特定活動」

「特定活動」は、下記3種類に分別されています。それぞれ従事できる活動が異なりますので、違いを理解しておきましょう。

出入国管理及び難民認定法に規定される特定活動

いわゆる入管法の中に規定されている特定活動であり、かつ、分類される特定活動には3つの種類があります。

(1)特定研究活動
研究機関内で特定の分野に関する研究又は研究の指導・教育を行う活動

(2)特定情報処理活動
自然科学又は人文科学の分野における技術又は知識を必要とする情報処理に関わる業務における活動

(3)特定研究家等家族滞在活動及び特定情報処理家族滞在活動
(1)あるいは(2)で滞在する外国人の扶養する配偶者または子が日本で行う活動

告示特定活動

ワーキングホリデーやEPA看護師候補等、執筆時点では50号まで創設されています。社会情勢等を勘案し、削除されることや、取得することが事実上困難となっている種類もあります。この中でも比較的使われることが多い9号と46号の概要を解説し、その他は一覧を列挙します。

  • 9号 インターンシップ
    報酬の支払いがあり、かつ、1年を超えない期間のインターンシップを行う場合
  • 46号 本邦大学卒業者
    日本の大学を早津行下比較的高い日本語能力を有する者が高い日本語能力を活用することを要件とし、幅広い業務に従事する活動を行う場合
  • 1号 外交官家事使用人
  • 2号 高度専門職
  • 3号 台湾日本関係協会の在日事務所職員及び家族
  • 4号 駐日パレスチナ総代表部の職員及び家族
  • 5号 ワーキングホリデー
  • 6号 アマチュアスポーツ選手
  • 7号 アマチュアスポーツ選手の家族
  • 8号 外国人弁護士
  • 10号 イギリス人によるボランティア活動
  • 11号 削除
  • 12号 短期インターンシップ
  • 13号 削除
  • 14号 削除
  • 15号 国際文化交流
  • 16号 EPAインドネシア看護師候補者
  • 17号 EPAインドネシア介護福祉士候補者
  • 18号 16号のインドネシア人の家族
  • 19号 17号のインドネシア人の家族
  • 20号 EPAフィリピン看護師候補者
  • 21号 EPAフィリピン就労介護福祉士候補者
  • 22号 EPAフィリピン就学介護福祉士候補者
  • 23号 20号のフィリピン人の家族
  • 24号 21号のフィリピン人の家族
  • 25号 医療滞在
  • 26号 医療滞在同伴者
  • 27号 EPAベトナム看護師候補者
  • 28号 EPAベトナム就労介護福祉士候補者
  • 29号 EPAベトナム就学介護福祉士候補者
  • 30号 27号のベトナム人の家族
  • 31号 28号のベトナム人の家族
  • 32号 外国人建設就労者
  • 33号 高度専門職就労配偶者
  • 34号 高度専門職父母
  • 35号 外国人造船就労者(国交省認定のみ)
  • 36号 高度の専門的知識を必要とする研究者
  • 37号 自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を要する情報処理者
  • 38号 36号、37号の活動で在留する者に扶養される配偶者又は子
  • 39号 36号、37号の活動で在留する者に扶養される配偶者の親
  • 40号 富裕層短期間滞在
  • 41号 富裕層短期間滞在配偶者
  • 42号 製造業外国従業員
  • 43号 日系4世
  • 44号 外国人起業家
  • 45号 44号外国人の扶養を受ける配偶者又は子
  • 47号 本邦大学卒業者配偶者、子
  • 48号 東京五輪関係者
  • 49号 東京五輪関係者配偶者、子
  • 50号 スキーインストラクター

特定活動46号については別記事で詳しく解説していますので、こちらもあわせてお読みください。

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告示外特定活動

告示外特定活動とは「特定活動告示・高度人材告示」には非該当であるもの、過去に法務大臣が個々の外国人に対して、慣例的に認める特に指定する活動であり、今後も同様の活動に対して適当と認められるものが「告示外特定活動」となります。

在留資格「特定活動」を持つ外国人を雇用する際に確認すべきこと

「在留カード」と「指定書」の2点の確認が必須です。詳細を後述します。

在留カードと指定書での「特定活動」の確認の仕方

●在留カードの確認すべき部分
在留カードは比較的認識されてはいますが、まずは在留カードの表面に「特定活動」の記載があるかの確認をし、次に裏面に「指定書に記載された就労活動のみ」との記載がある場合は併せてパスポートも確認しておく必要があります。

●指定書の確認すべき部分
指定書については理解が及んでいないケースが少なくありません。特定活動では、各々の外国人の活動範囲に対して活動許可を定めており、当該活動範囲を指定書に記載しています。

具体的には、指定書には本人氏名、国籍および地域、活動範囲が記載されています。重要な部分として、「活動範囲」を確認し、自社で雇用するか否かを判断することとなります。

「特定活動」でよくある疑問

「特定活動ビザ」の在留期間は?

就労をはじめ、長期滞在を目的とした特定活動ビザの在留期間については1年から5年、あるいは3ヶ月から6ヶ月等、法務大臣が個々に指定する期間の滞在が許可されています。そして、法務大臣が個々に指定する期間については、「5年を超えない範囲」とされていることから特定活動ビザの滞在期間は最長でも5年となります。

「特定活動」と「特定技能」の違いは?

根本的な違いとして、特定活動は近年、多様化する外国人の「日本での活動」に対応するためであるのに対し、特定技能は「労働力の確保」のために創設された制度です。また、特定活動では在留期間は最大5年であるのに対し、特定技能は最大10年となります。

コロナの「特定活動」への影響は?

コロナに対する特例措置として、2点取り上げます。

1点目はコロナにより解雇や雇止めをうけた場合、最大1年後に特定技能として労働することを前提に設けられた制度です。特定技能として雇用してくれる会社と雇用契約を締結した際、特定活動で最大1年間、フルタイムで就労しながら特定技能に必要な日本語試験と実技試験に合格する必要があります。

2点目はコロナにより帰国できない技能実習生向けの措置で、特定活動を許可され、フルタイムで働くことが可能となります。しかし、技能実習と同じ職務で働くということが条件です。万が一、従前と同様の業務での就労先が見つからない場合は技能実習で従事した職種、作業が属する就労先で就労することも可能です。そして、帰国できない状況が続く場合は更新も可能です。いずれの制度も期間限定の措置となります。

参考:新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による帰国困難者に対する在留資格上の特例措置の終了について – 出入国在留管理庁

おわりに

特定活動は各々の外国人の状況を勘案し、法務大臣が許可する在留資格です。特定活動を介して外国人雇用を進める場合、在留カード、指定書の確認は避けて通ることができません。

また、在留資格によって許可された活動範囲から逸脱してしまった場合には不法就労助長罪に問われることがありますので、入念に確認し、正しく制度を活用しましょう。もちろん、外国人は日本人と同様に雇用して終わりではなく、雇用後は労働関係法令の遵守も忘れてはならず、現行の法令に則り、労務管理していくことが求められます。

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